神様なんていない

姫亜樹(きあき)

神様なんていない

神様を信じて

戦争をする人たちがいる

同じ人間を殺す人たちがいる

そんな人たちがいるこの場所に

そんな人たちがいるこの世界に

神様なんているの?


ここは魂が肉体を持つ世界

ぼくたちは神様の居場所から

遠く遠く離れたこの世界で

旅をしている

この旅の目的は

殺しあうことじゃないはずだよ

争うことじゃないはずだよ

ねぇ

ちゃんと目を開いて

ぼくたちは何のために

この世界に居るのか考えてよ


ぼくたちとチンバンジーの間には

どんなに願っても

子どもはつくれないけど

ぼくたち人間同士なら

肌の色が違っても

瞳の色が違っても

国が違っても

子どもをつくることができるんだよ


犬や猫たちは

毛の色が違っても

瞳の色が違っても

姿や大きさが違っても

同じ種族同士

殺しあったりしてないじゃないか

なのに

どうしてぼくたち人間は

仲良く生きていけないんだろう


神様という

本当にいるかどうかも

わからない

苦しい時や悲しい時の

ただの心の拠り所でしか

ないかもしれないものを

理由にして

人を殺してもいいの?


もし神様が本当に

いたとしても

ぼくたち人間と同じ

感情を持っているの

この広大の宇宙の中の

ちっぽけな星の

ちっぽけなぼくたちの

争いなんて

目に入ってると思うの


だって考えてよ

ぼくたちだって

庭の隅のアリたちが

ぼくたちを勝手に神と崇め

戦争をしてたって

気付かないだろう?


だから

神様なんていないんだ

ぼくたちはこの星の上で

力を合わせて

生きて行かなくちゃ

ならないんだ

何者もぼくたちを

助けてはくれないのだから

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