ヨシュアとユダ
統治神<シ>は、自分がパリスと呼ばれていた
遠い昔のことを思い出していた。
思えば、あの時からすでに運命の歯車は、音もなく、
誰にも気づかれないまま動き出していたのかもしれない。
ヨシュアがまだ幼いころ、どうしても祭りを見に行きたいと
駄々をこねたことがあった。
あいにくその日は、王も妃も宮殿にはいなかった。
聞き分けがなく、泣きじゃくるヨシュアに根負けしたパリスは、
ついにふたりきりで城を抜け出し、祭りを見に出かけた。
見るものすべてが珍しく、パリスもヨシュアも
そのにぎわいに心を奪われ、どんどん人ごみの中へ入って行った。
そしてパリスが気づいた時にはヨシュアはいつの間にか
パリスとつないでいた手を離し、どこかへ行ってしまっていた。
パリスは必死にヨシュアを探したが、人ごみのなか、ついに
見つけ出せなかったのだった。
そのころ、人ごみの中で、ひとり泣きじゃくっているヨシュアに気づき、
「どうしたの?」
と、声をかけてきた小さな男の子がいた。
「僕はユダ。きみは、なんていうの?」
と、小さな男の子は大きな目をくりくりさせながら
ヨシュアに言った。
それがヨシュアとユダの最初の出会いだった。
「光の天使」神々の闘い~ヨシュアとユダ~永遠の思い 来夢来人 @yumeoribitoginga
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