統治神<シ>の回顧

暗い夜空を背景に、ひときわ眩しい光を放つ

アトランティスの光の宮殿。


その宮殿の主(あるじ)である偉大なる統治神<シ>は、

永遠に失ってしまった弟(妹でもあるもの)を思い、

ひとり心の闇と対峙し、悲しみと戦っていた。


この宇宙をすべからく統治する、絶対無二の存在であらねばならぬ

統治神<シ>は、どんな時も決して弱さを見せてはならないのだ。


しかし・・・


 『ヨシュアの不幸の原因は、何だったのだろうか・・・』

 『アトランティスの王子として生まれながら、

 あまりに女性的要素が強すぎたのだろうか?』


 ヨシュアは子供のころから、少女のようなところがあった。

 少女のように可愛らしかったこともあり、王女を望んでいた王妃は、

 ヨシュアを王子ではなく、王女であるかのように育てた。


 次の統治神となる王子は、第一王子であるパリスがすでにいた。


 パリスは優秀で美丈夫だったが、将軍家の助け無くして、

 この広い宇宙を束ねるのは、やはり不可能なことのように思われた。


 パリスの統治を盤石なものにするためには、ヨシュアが女神へと成長し、

 生まれながらの婚約者である将軍家の跡取り息子ネロと結婚し、

 王家と将軍家の絆をより強固なものにする必要があった。


 しかしヨシュアは、いつまで経っても未分化のままだった。

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