皐月レオンの日常と憂鬱

雨籠もり

皐月レオンの日常と憂鬱

 朝六時。皐月レオンはいつもどおり、目覚し時計が鳴る直前に目を覚ます。昨日の『バイト』が夜遅くまで続いたせいで、今日は少しばかり眠い。もう少し寝ていたい…が、日常に向かうための電車は6:30出発なので、のんびりしてはいられない。

 カバンに教科書と依頼書を放り込んで、制服に着替える。ありふれた普通の制服ではあるが、皐月にとっては自分の日常の在り処を示す大事なピースの一つだ。パンを強引に口の中にねじ込み、毎朝必ずはねる右頭の髪の毛を今日こそは治そうと櫛をひっぱる。けれどもやっぱり治らなくて、仕方なく寝癖のついたまま家を出る。

 玄関を開ければ、曇り空の広がる世界が出迎えてくれた。空っぽの部屋に、中身いっぱいの「行ってきます」を言って、皐月レオンの、ほとんど昨日と変わらない日常が始まる。

 皐月は、つま先をトントンとアスファルトに跳ねさせ、靴の履き心地を調整する。

ニュースでは梅雨明けと言ってはいたが、この曇り空…。一雨降りそうだ。

 皐月は玄関に大切に置いてある『傘』を持ち上げる。晴れの日でも持ち歩かなければならない『これ』は、形状のサイズがちょうど市販の傘と合致することと、雨の日は普通の傘、晴れの日には日傘としてカモフラージュできるので、通常ではこの傘の形に収めているのだ。それを片手に持ち、駅までの道を駆ける。

 途中、仲良く二人で登校している女子高校生を見かけた。楽しそうに笑う二人を見て、皐月は少しだけ憂鬱になる。

 皐月は羨ましいのだ。だって、今、目の前で平易に行われているその行動は皐月にとってはとても実現できそうにない。

 だから皐月は、昨日も、今日も、多分明日も明後日も、祈っている。

 こんな日常が、いつかボクに、訪れるように。

      ✤

 学校に着けば、いつもと変わらない面子がいつもどおりの席についている。数人の女子が「おはよう」と珍しく挨拶をしてくれたので、返す言葉で「おはよう」と言う。

 挨拶してくれたのが嬉しくてついつい笑顔になってしまう。が、日常の会話は例え始まったとしても、だいたいがここで終わってしまう。それはそうだ。話すことがない。それに、挨拶を交わしてくれる彼女たちは、残念ながらボクのことを友達だとは思っていないだろう。いつだってそうだ。友情関係だなんて、触れればたちまち崩れる砂の塔。自分がいくら相手のことを大切に思っていたとしても、相手が自分のことを同じだけ大切に思ってくれているとは限らないのだ。だから皐月は本を読む。本の中の住人は、皐月が本を開くたびに笑顔で振り向いてくれる。

 それに、本の中には沢山の感情が保存されているのだ。文章に触れるとは、まさに感情に触れることだと思う。そして、その感情に触れた瞬間、体に流れ落ちる感動こそが、友情なのだと皐月は考える。

 一時間目の授業は皐月の苦手な数学だった。別に定理や問題の解き方が分からないわけではない。ただ、ベクトルの矢印がジャマダハルに見えたり、『5』がどうみてもショーテルにしか見えないせいで、数学の授業は集中できた試しがない。今日も例に漏れず、二次関数のグラフがハルバードに変わっていた。

 この長柄武器は斧と槍、二つの長所を一つに合体させた奇跡のような武器だ。通常ならば、半月型の刃が槍にくっついたような形状をしている。その接合面に少し隙間を作ってソードブレーカーの役割もプラスすればさらに強くなるかもしれないな。『三国志演義』においては呂布が使用する武器のモデルになっている。名前は確か方天戟とか言ったか。しかしハルバードや方天戟が発明されたのは三国志のあった時代よりも、もっともっと先の時代の話だ。あの時代にハルバードがあるとすればそれはもはやタイムマシンに乗った誰かが入れ知恵をしたとしか思えない。ん、待てよ?武器に詳しい人が過去に飛ばされて、戦術を一変させていくライトノベルなんて面白そうだ。今度ジャンル検索で調べてみよう………。

 そんなことを皐月が考えている間に、いつの間にか三つ授業が終わっていた。

 また、やってしまったなぁ…。と無言の反省をする。次のテストまでまだ三週間あるが、今のうちに勉強を始めておいたほうがいいかも知れない。

 その後も、集中できない授業が続いた。歴史の授業では戦陣のことばかり考え、化学の授業ではどの金属ならソードブレーカーをさらに頑丈にできるだろうか?などと、やっぱりいつもと変わらないことを考えている。そうして、心ここにあらずなままが続いて、気がつけば学校も終わっていた。

 放課後のチャイム。そそくさと帰っていく同級生達を、皐月は羨ましそうに眺めている。

 彼等はこれから、部活に行ったり、付き合っている人と遊びに行ったり、俗に言う『青春』に入り浸るのだろう。心底羨ましい。ボクが放課後にできることと言えば、『バイト』くらいだ。

 腕時計がふるふると震えてバイトの時間を知らせる。

 もうこんな時間か。

     ✤

 向かいの山に隠れてしまいそうになっている夕日。下校途中の学生。さらさらと揺れる木々。水たまりに映り込む空の青。

 それらを、薄い金色の髪を自由にたなびかせながら、皐月レオンはビルの屋上から見下ろしていた。梅雨明けのアスファルトの匂いが心地いい。いつまでもこの絶景に見入っていたい。

 しかし、ボクには『バイト』がある。残念ながら、この景色とは今日はお別れしなきゃ。

 そう呟いて、皐月レオンはパーカーの紐を引っ張り、フードを頭の上に降ろす。このフードは、中に鎖帷子を軽くしたものが入っていて、兜の役割を果たしてくれる。

 そして、手元にある傘を、床で二度跳ねさせて、『傘型のカバー』を縦に割る。中からは黒鋼の細い刀が現れた。

「バイトの始まる寸前まで、日常に入り浸ることができるように。」

 そんな願いが込められた、この傘の形をしたカバーは、刀を常時装備した状態での移動を可能にした。

 胸元の、星型に囲まれた『RB』の文字が夕日を反射して薄く光る。パーカーのデザインから、『read』と『book』の略であると思われがちだが、本来の、元の文章は『Reading Bastion《読書の塔》』であり、そしてこの名前は、バイト先の店……いや、『組織』の名前だ。

 一つの物語を書くということは、一つの世界を構築することである。

現代。

 インターネット環境の整備により、誰もが書き手になる事ができるようになった時代。

それは、急激な『世界線の増加』を巻き起こし、あっという間に次元のメモリーを喰らい尽くしてしまった。簡単に言うならば、『存在できる物語の上限を遥かに上回ってしまった』のだ。そして、それは各世界線に甚大な被害をもたらした。

『書獣』の出現である。

 書獣とは、増えすぎた物語に食らいつき、世界ごと食べてしまうという凶悪な怪物だ。食べられた物語はこの世から抹消されてしまう。認知度の低い物語ほど、書獣に狙われやすい。書獣は世界線を一つでも多く減らすために、食べやすい認知度の低い物語を狙うのだ。もう既に数千の世界線が食べられてしまっている。

『Reading Bastion《読書の塔》』は、そんな物語を救う組織だ。毎日、きっかり五時に、『Reading Bastion《読書の塔》』のメンバーの近くに、世界線を捕食しようとしている『書獣』が転送されてくる。その転送場所を『依頼書』で確認し、先回りして、撃退する。

 これが、皐月レオンの『バイト』だ。

「五時。だ。」

 腕時計の電子音と共に、ビルから飛び降りる。直後、ビルにあらわれた魔法陣から巨大な異形がぬうと飛び出す。書獣の大きさは、書獣が捕食しようとしている世界の大きさによって変わる。この大きさならば、長編のファンタジー小説くらいだろうか。と皐月は思考を少しだけ巡らせる。

 黒色の体にところ狭しと並ぶ眼球群は一斉に皐月を睨みつける。その一瞬後に皐月の黒鋼の刃は書獣に届いていた。重力に身を任せて思い切り刺し込む。剣身の半分近くまで差し込んだところで体を半回転させてさらに深く抉る。書獣はあまりの痛みに悶え、体を震わせて振り払おうとする。皐月はその反動を利用して回転しつつさらに切り込みを広げていく。

「グッガガガガがガガガァァァァァンッッ」

 書獣は耳をつんざくような咆哮をもらし、素早く魔法陣から抜け出る。ぬるりと湿った翼を最大に開けば、それはもはや異形の龍以外の何物でもなかった。

 開放された両翼に弾き出されるのを堪え、書獣の上で皐月は驚く。

 このデカさ……。長編ファンタジー小説なんて比じゃないくらいにでかい。上下巻で成る千ページ物とは訳が違う。きっとシリーズ物。恐らくは、『ハリー・ポッター』や『グイン・サーガ』並の大物だ。

 書獣はその翼を次元が湾曲したかの如く張り曲げて、それを最大限に稼働して逃走を試みる。

「なっ…!」

 途端動き出した書獣が、まさか逃走を図るとは思いもしなかったので、皐月は一瞬、行動が遅れた。押し出された風を正面から受けて、空中に投げ出される。このまま落下したらひとたまりもない。刀の柄の部分を右に回して柄の最下部を開放させる。刀の柄から飛び出した鎖分銅は真っ直ぐに飛びついて書獣の足を絡めとる。鎖分銅とは、重さ二キロの分銅を刀の柄に鎖で繋げた武器だ。『宮本武蔵』の宍戸梅軒に憧れて改造してみたものだが、まさかこんな形で役立つとは。

 皐月は書獣の足にぶら下がる形で書獣の逃亡を追跡する。

 このまま町中まで移動されるのも面倒だ。柄をぐいと引っ張って体を書獣の足に寄せる。このまま、足を掴んでよじ登れば書獣にトドメを刺せるかもしれない。

 …が、その思惑をまるで読んだかのように書獣はぐるっと回転して逃亡を止め、体を左に旋回させて皐月が書獣の足を掴む前に、鎖分銅を振りほどこうと上空で暴れた。やがて書獣の足から鎖分銅を振りほどくことは不可能だと察したのか、今度は逆に鎖分銅を利用して皐月の体を屋上に点在する鉄柵やベンチ、貯水タンクなどにぶつけようと体を振るう。『バイト』中も、公共物の破壊はもちろん御法度で、最悪の場合以外はそれらを斬ったり撃ったりすることは原則できない。

 書獣による低空飛行により屋上に引きずられる皐月。貯水タンクをギリギリで避け、鉄柵を踏み越えて難を逃れる。刀を軸として向かいの手すりに飛び上がり、それを蹴飛ばしつつ前進。書獣の飛行速度に合わせて駆ける。その先の鉄柵をさらに踏み越えて次のビルの屋上に着地。前方に避雷針。その頂点を足で蹴り、鎖分銅を中心にその体を揺らし、書獣に接近して下腹部をえぐり刺す。

 再び悶える書獣。絶叫が響く。

 そのまま皐月は前方に回転。自らを軸として車輪の如く腹を刳り取る。被ダメージ量が増し、もはや飛行状態を保てなくなった書獣は体力低下による下降を開始する。鎖分銅につられて、書獣を追う形で皐月も落下する。

 太陽と闇色の少女が落ちていく。

 乱舞するカラス共を追い抜く。

 ビルのガラス壁に閃光となって反射する。

 景色が紅の空に沈んでいく。

 先程から何度も何度も斬ってようやく理解できたが、コイツの体は異常に硬い。トドメを刺すには、一点を狙う必要があるな。

 皐月は胸の紐を引き抜く。

 バックルピストルからヒントを得たこの武器は普段は学生服の襟の奥に隠してある。襟に隠してある銃なので、『ネックバンドガン』と名付けた。紐を引き抜くことで姿を顕にするこの銃は、小型で扱いは難しいが、通常の銃程度の威力は保てている………はずだ。ボクが作ったから、その点は曖昧。

 引きずられてジェットコースターの如く下へ下へと向かう書獣の背中に、ネックバンドガンを向け、照準を合わせる。

 一点。

 その一点に向けて、弾倉が空になるまで発砲する。果実を床に叩きつけるような音をたてて書獣の背中から黒いものが噴出する。

書獣の血液は文字だ。撃てば撃つほど、斬れば斬るほど、文字が噴出して物語に還っていく。そして、文字が噴出しはじめたということは、この、命をかけた戦いもそろそろ終わりということだ。

 溢れ出る文字を体中に浴びながら、皐月はぐいと鎖を引き寄せる。ぴんと真っ直ぐに正された鎖は、書獣の急所への確かなレールだ。

 鎖に黒鋼の刃を沿わせる。そのまま、さらに鎖を引き寄せて、急速落下して書獣の背中へ近づく。フードから溢れる薄い金色の髪が風に靡く。夕日に重なり、光が彼女を縁取った瞬間、皐月レオンの非日常は、ようやく終わりを告げる。刃は、皐月レオンごと、書獣の背中を強引に貫く。

「ガアアアアアアアアアアアアアアンンンンンッッッ」

 紫電が黒鋼の刃を滑り這って空へ放たれる。

 その巨体を貫かれ、胸にバスケットボール大の穴を開けられた書獣は、悶えながらその姿を崩していく。

 皐月は鎖分銅を街灯に巻きつけ、その街灯を軸にして回転することで落下の衝撃を逃がす。

 その回転が止まる頃に、書獣は地面に叩きつけられる。

 皐月レオンは着地して書獣が完全に崩壊したことを確認する。書獣は一塊の文字と化していた。恐らく、元の世界線が完全に元通りになるのも時間の問題だろう。

 文字たちは地面に当たり、砕けて四方に張り付いた後、ゆっくりと剥がれて空に舞い上がっていく。まるで深黒の蝶のように。

     ✤

 皐月レオンは、本屋に来ていた。彼女の『バイト』は、まだ終わっていない。同じ世界線がまた危機に晒さられないように、物語を語り継ぐ必要がある。そのため、『Reading Bastion《読書の塔》』のメンバーは、戦いを終えた後、書獣が襲った世界線の物語を読む必要がある。

『そして、金田博子は歩きだす。やがて始まる、さらなる危機に立ち向かうために。』

 最後の一ページを読み終わり、その本を閉じる。とても、書獣に襲われるとは思えないような、面白い作品だった。

 世界には気が遠くなる程の膨大な数の物語があるけれど、もしかしたら、つまらない物語なんて一つもないんじゃないだろうか。と皐月は一人考える。

 人生がもしも、物語だとするならば、面白くない物語はないように、面白くない人生なんて存在しない。そう考えると、周りの人がみんな素晴らしい人間に見えてくる。けれど、ボクは…。

 ボクは、物語になれるような人生を送れているだろうか。毎日、集中できない授業を受けて、それが終われば命がけの戦いに放り込まれる。そんな人生は物語と言えるのだろうか。

 そう考え始めると止まらなくなるので、皐月は、好きなものを守るための人生は素晴らしいじゃないか。と自分を説得してみる。ボクは間違っていない。こんな日常だって、有り得ていいんだ。

 ………けれど、やっぱりボクだって憧れる。

 普通の人間の、普通の日常。

 友達と歩く、朝日の在る通学路。

 みんなが帰ってしまった後の部室。

 誰もいない教室に二人きりの放課後。

 机を並べて談笑する授業。

 憧れれば憧れるほど、日常はボクを置いていく。日常が私に介入してくれることはない。ボクは日常が好きだが、日常はボクに興味はない。

 それに、ボクの日常は、学校の同級生達の日常とは違う。そして言わば、ボクの日常は大衆からすれば非日常であって、ボク以外のその他大勢の人間とは相入れることは決してないのだ。まるでレンガの壁で隔たれたような疎外感だが、仕方がない。それが自分の今の役目だと信じるしかない。

 だから今は、ボクは傍観者であっていいと思う。ボクの憧れの中で生きる彼等の笑顔はボクの夢そのものだから。

「あれ?皐月さん、いらしてたんですか?」

 書店員の綴野つむぎが皐月を見つけて話しかけてくる。ボクの、数少ない友達の一人……いや、ボクが友達だと思っているだけで、本当は彼女はボクのことを友達とは思ってはいないかもしれないけれど、それを確かめるための質問をする勇気はもちろんボクにはないので、多分、友達。

 綴野は皐月の持っている本に気づく。

「あれ、皐月さん、こういうのもお好きなんですね。」

「あ、ああ。たまにはこういう、ファンタジーサスペンスも良いかなと思って。」

 ぎこちなく応える。彼女は人懐こくてよく話しかけてくれるのだが、ボクはやっぱり、人と話すときは緊張してしまって。

「私も、この本好きなんですよ。私が小学二年生の頃に初めて読んだ作品で…」

 彼女は自分の好きな本を語りだすと止まらない。いつも夢中になって本を紹介してくれる。以前、太宰治の『走れメロス』から学ぶ人生哲学と教訓を説かれた時には、途中から何を言っているのか分からなくなるほどの濃密な話をしてくれたのは記憶に新しい。そんな綴野の姿が、皐月はとても好きだった。

 そうだ。これでいいじゃないか。なにも、他人と比べてどう優れているかなんて関係ない。これが私の日常だ。

 今はこの緩やかで、理想とは程遠い日常に甘んじてしまって構わない。

「あ、そうだ!」

 綴野は何かに気づいたようたように顔をあげ、バックヤードへ駆け込んでいく。そして、手に何かを持って戻ってきた。

「どうしたの…?綴野さん」

「いや、この前、駅前の売店に新しくパン屋さんが出来ていて。そこで、美味しそうなのがあったから……。これ。」

 差し出された綴野の手にはビニールに包まれた白箱が収まっている。白箱の上側には、商品シールが貼ってある。

『メロンパン』

「おお……っ!」

「皐月さん、メロンパン好きって聞いたから」

 思わず笑顔になって白箱に見惚れる皐月。それを優しい笑みで見ている綴野。優しい空間がそこにはあった。目を輝かせ、喜びに眉を上げて皐月は言う。

「ありがとう……!綴野さん!」

 皐月レオンの非日常な日常は、こうして一日を終える。

 明日も明後日も、きっといつまでもずっと、憧れの理想を追い求めて似たような日常を過ごすのだ。暑さで空間が歪んで見える日も、赤絨毯の敷かれた紅林を歩く日も、真白い雪が頬で溶ける日も、桜並木の続く日も、時が経って死んだ目で電車に揺さぶられる日も、年上と言うだけで偉そうに罵る上司に苛立つ日も、街灯の下で抱き合う二人を羨ましそうに眺める日も、いつか誰も彼もに忘れられて、手元にある一冊の本に想いを綴るしかない日が来たとしても、ずっとずっと。

 そこに祈りはある。在り続ける。いつでも、どこでも、理想への不確かな道筋を必死で進んでいく。それは皐月のみに限られたことでは決してない。

 皐月レオンは、今日も目覚し時計を六時にセットして眠りにつく。いつか本当に、普通の女の子としての日常が訪れることを夢見ながら。

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