最終話 精霊と龍の冒険記
空へ羽ばたいていったあの赤い竜……。ケルアにはなんとなく予想がついていた。
たった二週間の戦争だったが、めまぐるしく変わる中で彼女だけは僕の相棒だったから。種族の違いなんて関係ないものだと実感してしまう。
森は守りきった。どころか森に手出しをされることすらなかったのは奇跡とも言える。
「ケミンズはどこまで知っていたんだろうな」
彼女の力ならきっとこの戦争を無理やり終わらせることもできた気がする。ただ、彼女はそうしなかった。そうしたくなかったんだ。
だから僕は、彼女がやりたかったことを僕なりに成し遂げてみようと思う。
戦争の無慈悲さ。人間の本当の力。平和の大切さを。本に記していく。
そして、精霊と龍の冒険記を。
未来へ、みんなへ伝えていくために。
**********
戦争が終結し、僕はまたレリィやカミールと森で過ごすことが出来るようになりました。
今ではたまにいろいろな人から手紙が来ることもあります。
最鋭であったレイウスさんは今では元気になったようで国の騎士団の団長として様々な種族とともに剣術を極めているそうです。
セスナさんは王政を無くし、人々がそれぞれ主導者を選べるようにして、今は結局セスナさんが主導者となって平和な国を作ろうと忙しいとか。
アリミアさんとリュオスさんは世界各地を旅するようになり、様々な人を助けながら自分たちの力をみんなを笑顔にできるように頑張っているとか。
レジスタンスは全員が全員悪ではなく国を変えようと今も努力している人がいるそうです。
僕が一番手紙を欲しい人からの手紙はまだ届いていません。
ですが、彼女が遠い山の方を飛び回っているのを見かける、それだけで僕は良かったのです。
精霊と龍の冒険記 夏樹 @natuki_72
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます