第15話 終戦

「アリミア、俺絶対間違ってたことしてた。ごめんな」

リュオスは頭を下げようとする。

「待って。」とアリミアはリュオスを制す。次の瞬間、アリミアの平手がリュオスの頬を打った。

「痛っ!?」

「あなた自身が辛かったのはよく分かるけど、一つだけ言わせて」

アリミアが言うのをリュオスは黙って聞いている。

「戦争はもう、終わったのよ」

 リュオスは黙ったまま、まるでわけがわからないように首をかしげる。

「レジスタンス主犯格は七星の塔の崩壊により散り散りになりました。あの建造物は精鋭7人よりも強い人が出てきた瞬間に崩壊するようになっていたのです」

リュオスが振り向くと後ろにはセスナが大精霊を連れて立っていた。

「そもそも、あのケミンズっていう龍族が龍神だったようでして……。彼女もまあ、戦争を止めるために必死だったのかもしれません」

「そう言ったあなただって精霊族のトップなのでしょう?」

「お恥ずかしながら……。セスナさんは想定外だったのですが結果としてどちらの軍にもつかない英雄クラスになったので良かったです」

「転生なんてわかるわけないじゃない、いくら大精霊だからって」

「どちらかといえば精霊王が付き人妖精に割り振られる魔力を持つ人間の方が珍しいってことなのですけどね」

「それで、とりあえず自分は何をすれば?」

リュオスが質問を投げかけると、アリミアが答える。


「もう一度、誰もが平等に平和に暮らせる世界を作ってみませんか?」


 反対するものは誰ひとりとしていなかった。なぜなら、本当は人間も龍も精霊も誰も戦うことなぞ、望んでいないのだから。

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