第4話 学校に残った人


次は大怪我で留年したケースだ。雨宮さんとは違い、彼は頑張って卒業したよ。


高校一年の時だったな。私と小池(こいけ)君は同じクラス。隣のクラスに米田(よねだ)君と田辺(たなべ)君がいた。


私と米田君はX中学、小池君と田辺君はY中学、そういう関係で、体育の授業はみんな一緒だったから、田辺君とはクラスが違っても何回か話したことがあった。イメージは、当時の言葉で言えば、スポーツ刈りのナイスガイ。


その田辺君が一年生の途中から姿を見かけなくなり、米田君に「彼、どうしたんだ?」と聞くと、「家の転んで大怪我をしたんだ。今、入院しているよ」と教えてくれた。

その時は、「ああ、そうか、早く退院できればいいなあ」くらいにしか思ってなかったけれど、彼の怪我は思っていた以上に大変だった。

結局、リハビリなども含め、長期入院となってしまい、一年生をもう一度やり直すことになった。でも、田辺君は頑張ったね。復学してからも、校内でよく見かけた。


新しい友だちと話しているところに、「元気か?」など、声を掛けることは出来なかったけれど、彼の笑顔が見えた。そして、私たちよりも一年遅れたが、高校を卒業した。卒業年次が違ってしまったから、同期会で会うことはない、田辺君にも元気でいて欲しい。

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