第4話 学校に残った人
次は大怪我で留年したケースだ。雨宮さんとは違い、彼は頑張って卒業したよ。
高校一年の時だったな。私と小池(こいけ)君は同じクラス。隣のクラスに米田(よねだ)君と田辺(たなべ)君がいた。
私と米田君はX中学、小池君と田辺君はY中学、そういう関係で、体育の授業はみんな一緒だったから、田辺君とはクラスが違っても何回か話したことがあった。イメージは、当時の言葉で言えば、スポーツ刈りのナイスガイ。
その田辺君が一年生の途中から姿を見かけなくなり、米田君に「彼、どうしたんだ?」と聞くと、「家の転んで大怪我をしたんだ。今、入院しているよ」と教えてくれた。
その時は、「ああ、そうか、早く退院できればいいなあ」くらいにしか思ってなかったけれど、彼の怪我は思っていた以上に大変だった。
結局、リハビリなども含め、長期入院となってしまい、一年生をもう一度やり直すことになった。でも、田辺君は頑張ったね。復学してからも、校内でよく見かけた。
新しい友だちと話しているところに、「元気か?」など、声を掛けることは出来なかったけれど、彼の笑顔が見えた。そして、私たちよりも一年遅れたが、高校を卒業した。卒業年次が違ってしまったから、同期会で会うことはない、田辺君にも元気でいて欲しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。