老人、初戦闘肉壁扱い

「言ったそばから襲撃が始まっとるぞ」


魔物たちはダイナマイトのようなものを持ち出し、役所に向かって投げつけていた


神の使徒兼獣耳少女がそれを見てすぐ近くにいた“野次馬“に話しかける


「す、すいません!これって日常茶飯事ですよね!?あと憲兵隊とか居ないんですか!?」


「ブルル…ヒヒーン!」


「え、私が美味しそうって?美味しくないですよ私なんか〜…なんでズボン膨らませてるんですか?」


「本当の馬ではないか!しかも発情しとるし!」


二足歩行をしていた馬はカクカクと腰を振り出していた


「え、え、えと…一旦落ち着いて話し合いましょう!ね?!ね!!」


「のう、貴殿。この爆発は日常茶飯事なのかぃ?」


老人は別の野次馬に話しかける

ちなみに人型の魔物だが発情はしていない


「ん、あぁ…度々よくあるんだよこういうこと。でも市長が強いからみんな基本的にお祭り騒ぎだよ」


「何となく、入口にある理由がわかった気もしないこともないのぅ」


「すいません!本当助けて!や、やめ!そんないきり立った肉の延べ棒を私に押し付けないでー!!」


ズボンの役目を果たしていない馬は神の使徒兼獣耳少女の身体中に液体を塗りつけていた


ズボン越しに


「R-17.9くらいかのぅ?」


「呑気にそんなこと言ってる場合です!?」


「ヒヒーン!!」


「黙、あ、ちょ、やめっ…ん!」


「公衆の面前で感じとる獣耳少女の方が発情しとるように見えるぞい」


「感じてないーー!もー怒りました!!セイッ!」


二足歩行している馬の金的に蹴りを入れる神の使徒


老人には分からないが神の使徒であるが故に光属性の攻撃を主体とし、また魔物の街に住んでいる馬も闇属性を主体とした生物であるため効果は倍となる


「ヒヒー……ン…」


バタリ、と馬が倒れたところで状況を再度確認すると、役所では市長と火薬持ち魔物との乱闘が始まっていた


「凄いのぅ…決死の覚悟で突っ込んでくる魔物共を、頭をちぎってはポイ捨て、ちぎっては投げを繰り返しておる……おぉ、凄い!ジャーマンスープレックスまで!これは盛り上がるのう!!」


「私は別の盛り上がりを押し付けられてましたけどね」


「ん?何か言ったかの?」


「老人言葉使う変なのが乱闘を見ると、ほかの声が聞こえなくなるくらい熱中すると言ったのです」


「そうかぃ、分かった変態よ」


「聞こえてるじゃないですか!あと変態じゃないですからね!?」


と言うやつじゃな!」


「違います!!早いとこ宿見つけましょう!身体中ベタベタで…その、い…いやらしく見られてしまいます」


「むっつりすけべぇではないか」


「殴りますよ?」


「待たんか、もうちょっと続くようじゃ!」


残り2人を残した市長は狼狽える魔物たちを見据えてこう述べる


「貴様らを残した理由はわかるか?」


「ガルル…なんだよ?」


「死体処理を頼む、と言っておるのだよ!!」


「誰が従うかボケェー!!」


鳥頭の魔物と犬頭の魔物が同時攻撃を仕掛ける


しかし、市長は攻撃を仕掛けてきた2つの頭を掴み、眼前に持っていき、宙に浮く


「ま、まさかあれはー!!」


2つの頭目掛けて市長がとった行動は


両膝を折り畳むようにジャンプし、鋭く突き出した両足の裏で、相手のを蹴り飛ばす、そう通称ドロップキックを市長は二つの頭めがけて行い、見事に頭だけを吹き飛ばした


「こちらでも見ることがあるとはのぅ…美しい姿勢じゃったわい、拝んじょこ」


「何やってるんですか」


「わしは奇跡を目の当たりにしたんじゃ、その栄誉を踏まえてな」


「私も奇跡の存在みたいなもんですけとね」


「貫禄無さすぎるわい」




市長は終わったようで息をひとつして、右腕をあげる


そして、野次馬たちから歓声が上がる


「まさに祭りじゃな」


「もういいですから、行きましょうよ…絞ったら雑巾みたいに流れ出てきましたよ」


老人が横を見るとノースリーブ1枚にドロワーズの獣耳少女が上着を搾っていた


「馬は見境ないんじゃの」


「魔物型限定です……多分」


「人の住む街でも、馬に襲われてるのかお主は」


「……言い返せません」


「難儀な体質じゃの…」


「老人口調の…魔物に慰められても…グスッ…気分良くなりませんから」


「あーもー泣くでない!選ばれし神の使徒様なんじゃろ!尊厳を保たぬか!」


「お、大声で言わないでください!恥ずかしいじゃないですか!」


「神の使徒ってそんな恥ずかしい職なんけ…?娼婦みたいなものかの?」


「近くて遠いですけどそれを例に挙げないでください、二度と!」


「わ、分かったのじゃ…ほ、ほれ、宿はどこなんじゃ?観光ついでに案内しておくれんか?」


「グスッ…良いでしょう、老人口調の魔物さんのためなら仕方ありません」


2人は歩を進めながらも会話をし始める


「なぁお主、ずっとその肩書きみたいな呼び方していくの?儂にも名前付けてくれんのか?」


「え、嫌ですよ私が名付け親みたいなことするの。勘違いされたら嫌です」


「何の!?なんの勘違いじゃ!?じゃあお主でなくて、信仰しちょる神にでも聞いておくれ!」


「えー、あれ変に力使いますし、寝てる時じゃないと啓示が貰えません。あと、女神アテンもこの会話聞いてるほど、忙しい身ではありませんので」


「寝てる時…夢見るだけで疲れるものなのかえ?まぁ、なんじゃ、そうなれば…仕方ないかもしれぬが、肩書きみたいな呼び方は狭苦しくて適わんのじゃ」


「ではかっこ仮で呼びましょう、(破滅を求む悪の権現)なんていかがです?」


「最悪のセンスじゃな」


「…」


「その、『お前がやれって言ったんだから文句言うな』顔を止めてくれぬか!?」


「仕方ありませんね…黒の魔物ですし(クロマ)と呼びましょう」


「まぁ幾分マシではあるかのぅ…そういえばお主の『宵月』は親が決め────」


「あ、あー!!あー!もう宿着きましたよ!すぐに部屋の手続きしましょう!!」


「…図星なのかのぅ…親が親なら子も子か…」


「いーじゃないですか宵月!!かっこいいじゃないですか!」


「……儂が昔見た宵月は体操着を着て色目使っておったのじゃがな」


「なんですかその変態」


「似たようなものじゃなぁと」


「全く似てません!!」


「次の方どうぞー、と言ってももう一部屋しかないんですけど」


別の男の声が聞こえ、老人(クロマ)と神の使徒(宵月)は会話を中断させ、男に向き直る


「2人じゃ」


「別の部屋で」


「あのー、俺の話聞いてました?もう一部屋しかない言いましたよね?」


「らしいぞい、宵の」


「宵月って呼んでください老人K」


「名前付けた意味あるのか!?」


「お名前あるんでしたらこちらへ記入して下さー」


「あ、ちなみに私文字書けませんから」


「え、この世界の識字率そんな低いのか!?」


「しきじりつ…というのがよく分かりませんが、大半の子供たちは戦争で親なくしてる孤児が多いので…生きるために必死なんです。文字の書く読むを覚える暇なんてありませんよ」


「なんと…とんだ世界に来たものじゃ」


「まぁ書けなくとも宿の店主が書いてくれますよ、ね?」


「あーすいませんっス、俺もバイトみたいなもんで字ィ書けないんすよ」


「……は?」

「……アハハ」

「……なんじゃこの状況」


「いやおかしいでしょう!宿の受付やるなら字は書けて当たり前じゃないですか!」


「いやだから…ね?バイトっすから所詮雇われッスよ、安時給すけど」


「はぁ〜…使えないですねこいつ」


「これこれ、初対面に言うことではなか」


「まぁこの魔水晶に名前言ったら登録できますんで、良ければどぞー」


「えーとじゃ、くろま!どうじゃ?」


「あ、光始めましたね…おー、紙に名前が書かれましたよ」


「のぅ…宵の、お主この“ますいしゃう“とやらの存在知らぬのか?」


「初見です」


輝く魔水晶に対抗するように、眩しいドヤ顔をする神の使徒


「ドヤ顔で言うものでは無いと思うぞ?」


「照れますね」


「褒めてはない」


「謙遜しなさんな」


「キャラ変わっとる…なんじゃ受付か」


「こちら部屋の鍵ですねー」


「あの、私まだ名乗ってないんですけど」


「不要ですー」


「は?なんだコラやんのか?」


「本当にキャラ変わりおったわ、まぁ待たんか宵の」


「むむ、皮だけイケメンがなんですか」


「受付の、こやつ人間じゃろ?」


受付は飄々とした表情をしていたが、冷や汗が1滴ほど垂れた


「そんな訳ありません、見た目から羊の人型魔物じゃないですか、中身は知りませんが」


「むう、まぁ良いか…」


「イケメンダンディーなお方、その件は黙っててもらえると…」


「あぁ構わんぞい、国から派遣されたスパイかなにかであろう?」


「…気づいておられましたか」


「いや、目的は知らんのじゃがな?」


「早く行きますよークロマー」


「…まぁなんじゃ、頑張り〜よ」


「はは…」


2階に上がる神の使徒について行く老人は、鍵を渡された部屋に着いて、鍵を回し扉を開け、すぐに閉じた


「さて、ここで問題です」


「唐突になんじゃお主は」


言葉を並べ始めながらも、服を脱ぎ魔法で洗濯していく神の使徒


「この宿では何が起こっているでしょうか!」


「大声出すでない、隣人に迷惑じゃろ」


「隣に人なんていませんよ」


「まさか、そんなはずはなかろうて…満室と言っておったし、あー、なるほどの、どこかでかけておるのじゃな」


「天に登ってる最中かもしれませんね、では答えをどうぞ!」


「意味深な発言せんでくれぬか!?まぁ強いて言うなればあれかの、受付はやはりスパイであって、魔物の動きを見ておるとか」


「はい残念ハズレー、罰として買い出し行ってきてください。場所も買い物してもらう物もメモしてます、はいこれ」


「なんじゃ、答えは聞かせてくれぬのか」


「あとに分かります、ほーら、行ってらっしゃい!」


ドロワーズ1枚の神の使徒は老人を部屋から追い出し、渡されたメモと現金を受け取ったまま宿から出た


「しかし、受付をチラとみたが何の変哲もない人物じゃったのう…」



一方で神の使徒は獣耳少女の変化魔法を解き、老人と出会った時の軽装な白い鎧姿をする


「隣に人は居ません…か、たしかにそうですね。そこまで感知能力が高いわけではなさそうですが…警戒レベルはさらに上げても問題ないかな」


神の使徒・宵月は老人口調の黒い魔物との出会いからここまでを、ふざけながらも観察をし続けていた


「問題はあのクロマの内包する魔力…観たことありませんよ、あんな地を這い廻る龍脈に近い魔力オーラは…」


老人は戦闘には興味はないようだが、一度ひとたびその力を振るえばどのような影響を世界に及ぼすか…


「全く未知数ですね…女神アテンはなぜこのような魔物を殺さずに生かせと命じたのでしょうか」


子守りのためである


無論、神の使徒はそんなことを知りもせず

また、それを知る者は今いる世界機老人以外誰もいず


神の使徒としては頭の中を謎で占領されるオチとなった



思考を切りかえ、神の使徒は隣の部屋の前へとたどり着く


「…スゥー……ハァー…失礼します」


返事を聞かずに開けた扉の先では、まだ不完全な腐敗した死体が山積みに散乱しており、異臭が充満していた


「ここまで放置してるとなると…二、三ヶ月ほどでしょうか?まぁ処理されてない分、原因を突き止めるのは楽ですが」


神の使徒は死体を数える

計25

そのうちの一つを引っ張り出し、検分する


死体は雌の人型魔物、腹を複数回刺され出血死か

その死体の匂いからは血の混じった中に、性行為による体液臭を感知できた


「死姦…それとも行為中による刺傷か、どちらにせよ気分の良いものではありませんね」


「名推理じゃん神の使徒様ってのは」


神の使徒が声のするほうを振り向くと、受付の男が進路を塞ぐように立っていた


「あなたの仕業ではありませんよね?」


「なんで?」


「死体が山積みの時点で、複数人による犯行と見れます」


「ふーん、俺一人の仕業って考えないの?」


「なれば満室とは言わないかと、全ての部屋が死体の山積みでなければ、ですが」


「ふんふんふん、いいねぇいいねぇ!あんたみたいな女を殺しながら犯したらどんな悲鳴あげるのかね!!」


「正体を見せましたね、ですが相手が悪いのでは?神の使徒、舐めない方がよろしいかと」


「みんなそう言って死んでったよォ!理由は今わかるかなァ!」


神の使徒は左手から光の粒子を呼び寄せ、白い剣を創り出す


「すっげー、光る剣とか初めて見た!」


「舐めるな!!」


神の使徒は突進し、光の剣の刃を突き立てるが、受付の男の謎の障壁により弾かれる


「きゃっ!」


「可愛い声出すじゃーん?」


弾かれ、死体の山に飛ばされた神の使徒の手には剣はなく、哀れな姿を晒してしまう


「な…なんで?」


「俺も原理は知らねぇが、この宿は俺の領域でなァ!しっかし、そそる姿晒してくれるねぇ、よっと!」


神の使徒は軽装の鎧だったために、両太ももを鎧の隙間からナイフで突き刺される


「あぐっ!」


両の腕にも2本のナイフを刺され、磔の状態となる


「んじゃま、一発目やりますかね」


受付の男はおもむろに神の使徒の下着を剥ぐと、臨戦態勢交尾する三秒前になる


「や、やめ…誰か…助け──」


願わくば、この宿にいる誰か

しかし、満室の各部屋には死体のみ


されど願う、もう1人の老人口調の黒い魔物に


「……クロマ」


「なんじゃ、お盛んじゃのう…扉くらい閉めてくれんかの?」


キィ……バタン


「……」

「……」


静寂と謎の間が広がる


しかし、神の使徒は声を荒らげる


「クロマ!助けてくださ──ムグッ」


「だまれクソ女っ!チッ、戻ってきたら殺してやる!」


しかし、またもや静寂と間が過ぎる


「…お前の彼氏、どういう神経してんだ?」


「すいません、彼氏じゃないんですアレ」


「まぁいい…彼氏さんがどういう性格してるか知らねぇが、ヤっちまえば関係ねぇ!」


ガチャリと、扉か開く


「すまんのじゃが、儂のツレを見てはおらぬか?買ったものをどうせすれば良いのかわからんのでなぁ…」


老人は一旦部屋に戻ったらしいが、宵月が不在のために隣人に声をかけに来たのだ


「あ?んだてめぇ!!こっちはお楽しみ中だって言ってんだよ!!」


「な、なんじゃと貴様!若い受付じゃと思って“こういう若もんもいるんじゃろうな“と思って接しておったのに!」


「なんだぁ?やんのかてめぇ!」


「望むところじゃ!!」


「クロマ、この人は──」


老人は神の使徒の声を最後まで聞かずに、拳を受付に突き出す


受付の男の方はというと、ナイフをまた持ち出し、拳に合わせ突き立てる


瞬間────ザクりと──


「…え?」


「…は?」


「…イッダァァァアア!!痛いんじゃ!ナイフを刺すなど!道具になんぞ頼りおって!」


老人クロマの拳には深く深く刺さったナイフがあり、受付の男は呆然としていた


──なにか魔法を使うのではないかと

──なにか対処してくるのではないかと


それらの疑問が全て消えた瞬間────


「ヤァァ!!」


神の使徒宵月が受付の後ろから拳を振るう


命中──受付の男は昏倒する


「物理は効く……?なら今がチャンス!」


神の使徒は馬乗りになり、受付の男を殴打し始める


「ガッ!ゴハッ!てめっ!」


だが男と女、力の差が生まれ始めると、受付の男は殴打していた神の使徒の腕を掴み、拳を止める


「舐めてんじゃねぇぞ!」


受付の男の拳が、神の使徒へ向かう


「──集中、ハッ!」


神の使徒は体をずらし、受付の男の腕そのものを脇に挟む


神の使徒は挟んだまま、受付の男の肘に掌を当て掌底


掌底は見事に受付の男の肘を破壊する


「ぎゃぁぁああ!!」


「まだ!」


神の使徒は、受付の男の二の腕を掴み下に落とす


ゴキン、と鈍い音が響き渡り、受付の男の肩が外れた


「ギッ!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」


猛烈な痛みが受付の男に伝わり、意識が鈍る


「これで!最後!!」


最後に神の使徒は、受付の男の頬にビンタをした


受付の男はそのまま意識が飛び、倒れる




「ハァー……ハァー……」


「のう、宵の」


「何ですか!役立たず!」


「えぇ…いや、あののぅ…ナイフ痛いんじゃが抜いてくれんかの?」


「知りません!勝手に抜いてください!あと下着取ってください!」


「あ、はい…最近のおなごは強いのぅ」


「はやく!!」


老人クロマは促され、早急にナイフと下着を取り、ナイフを渡した


「違う!逆!!」


「おお、すまんすまん」


「次やったら殴りますから」


「そんな理不尽なぞ…というより何を焦っておる」


「…貴方は、わかりませんか?」


「0を知れとは無理な話じゃ、10は教えてくれんかの?」


「はぁ…いいでしょう。まずこいつは人間です」


「それは知っておる」


「この死体は魔物です」


「そのようじゃな」


「この街は魔物の街です」


「なるほどの」


「…もう結論着きますよね?」


「……そういえば綺麗な茶葉畑があったのう」


「そのポンコツ頭は殴れば治りますか?」


「なんじゃ、違うのか?」


「右頬を差し出してください」


「痛いのは嫌じゃ」


そう言いながらもクロマは右頬を差し出す


そこに入るのは神の使徒による正拳


「痛いんじゃ!!何しよるか宵の!!」


「やはり直接頭部でないと治りませんかね!」


「し、仕方ないのう…」


殴られた頬を擦りながら頭部を差し出す


そこに入るのは神の使徒による拳骨


「いっっっだいい!!頭が割れるのじゃ!!」


「そうですか!正解はわかりましたか!!」


「さっぱりじゃ!!」


「もう1回!!」


「もう良い!!もう痛いのは嫌じゃ!!」


死体が散乱している部屋で茶番を繰り返すこと一刻


神の使徒、宵月は諦めて本題に入ることにした


「つ、疲れました…なんて硬い頭してるんですか」


「頭以外も殴られて顔中腫れとるんじゃが?」


「まぁいいでしょう」


「良くないのじゃ…」


「良いですか?今この町は休戦状態にあるんです」


「なるほどの…して、問題は人間側か、魔物側か、どちらが休戦状態を結んだかによるのぅ」


「それです、休戦状態を結んだのは人間側なので…もしこれが公になれば戦争が勃発するのは回避出来ませんね」


「予測可能回避不可能かのぅ…何とか出来んのか神の使徒よ」


「こんなとこで神の使徒扱いしないで貰えません?まぁ回避は出来ないことはありませんが…」


「なんじゃ、人間でも生贄にするのかの?」


「魔物側がそんなもので満足するなら苦労しません、受付の男には上がいます」


「受付の男は天に登ったのかの?」


「違います、指示を出したものが複数名いるでしょうとの事です。あと殺してませんから」


「犯される寸前だったでは無いか、怒り任せに殺したと思ったのじゃが」


「な、見てたなら助けてくださいよ!」


「そういうプレイが好きなのかとの…」


「んなわけあるかー!!」


神の使徒による暴力がクロマに炸裂する


ぶっ倒れたクロマを引きずり、部屋に戻る神の使徒は獣耳少女に戻る


「話の続きですが、回避するには親分を差し出せばいくらか納得するはずです」


「じゃが、宿の経営者も死んでおるのじゃろ?」


「なぜそう思います?」


「満室と言っておったでは無いか、その中に死体として混ざっておっても何ら不思議ではない気もするのじゃが?」


「経営者は…あぁ、生きてますね、感知したんですが、ダルマ状態で呼吸が乱れたまま椅子に縛られてます」


「死ぬ寸前ではないか!どこにおるのじゃ!」


「地下室のようです、助け出しましょう」


老人クロマと神の使徒宵月は経営者を助けに向かった

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