第13話 喧騒




今日はなんだかやたらと騒がしいなー。





いつもなら、ニンゲンがばらばらとやって来ては帰り、店内の席がすべてニンゲンで埋まることは滅多にない。

それなのに今日は朝から日が傾いてきたこの時間までひっきりなしにニンゲンが出入りしたいる。

加えていつものように彼よりも歳をとったニンゲンではなく、彼と同じかそれよりも若いニンゲンが出入りしているためか、なんだか会話も忙しなく、おかげで彼の声がぼやけてうまく聞き取れない。



忙しなく入れ替わるニンゲンが私を見つけては、声をかけたり触れたり、よく分からない「カシャッ」と音のする何かを向けてきたりするので、いたたまれなくなって今は彼の足元まで避難をしてきた。


それでも、この場所が落ち着けるということではなく。ひっきりなしにお客さんに呼びつけられる彼に何度も踏みつけられそうになってしまう。






このニンゲンたちはどこから沸いてきたのでしょうか。







「みー」 と彼に問いかけてみるが、彼はそれどころではないらしく、全く反応してはくれなかった。

それでも何度か彼の足を優しく引っ掻いてアピールしてみるが、





「ごめんね、みーちゃん、今日はちょっとそれどころじゃ…」





そう言ってまたお客さんのところへ行ってしまった。


仕方がないとわかってはいるけど、彼はかまってくれないし、店はガヤガヤとうるさいしで、なんだかイライラして「ふんっ」と鼻を鳴らすと、どてどてと歩き回った。


しばらくそうしてみたが、当然何かがかわるわけもなく、仕方なくお客さんからは見えない店の隅っこに身体を投げ出すことにした。





どうせ今日だけのことだろうし。





そう思っては見るが、落ち着かない。思わず尻尾をパタパタと動かさずにはいられない。身体をどてっと投げ出したまま尻尾を動かす様は、はたから見ても機嫌が悪いことは丸わかりのはず。そうは思ってみても、態度を改めるきには全くならなかった。




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