第4話 「彼」の声



サーーッ。サーーッ。


ちゃぽん。ちゃぽん。





外から聞こえてくる色んな音に耳を傾けながら、今日も窓辺でうたた寝をする。


今日は雨。

霧のように、しとしとと降る雨の音と、

時おり屋根の排水口からまとまって落ちる

雫の音。

どれも飽きずに聞いていられる。




喫茶店は雨だからか、もうお昼を過ぎたいい時間なのに、朝来たニンゲンたちが入れ替わることなく座り続けている。



私の近くの席にはいつもの二人。

男のニンゲンは新聞を読み終えたのか、私と同じようにうたた寝をし始めている。



カウンター席にもう一人。

彼と同じくらいの歳のニンゲンが、つまらなそうな顔で雑誌を読みながら、時おり彼に話しかけていた。


ぶっきらぼうな物言いのその男の言葉にも、

にこやかに、丁寧な言葉で返す彼の声が彼のやさしさを物語っている。






好きだな。






ふとそう思うと、

私は再び眠りについていた。


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