第4話籤
娘を出す家は、毎年クジで選ばれる。
冬至の朝、村の男達が何人か、壺と紙を持って西の森へ向かう。出掛けるのは村の成立に関わった、由緒ある家の者達だ。
彼等は神官の前で、壺の中に紙を入れていく。紙には未婚の娘がいる家の名が記されている。
もちろん彼ら自身も例外ではない。独り身の女がいる家は全て対象となる。例外は神官だけだ。
1枚1枚、確認しながら中に入れられ、終わると神官に差し出される。
神官はその中から1枚選ぶ。それが贄を出す家だ。
クジの結果はその日のうちに村中に知らされる。そうして多くの村人は、ほっと胸を撫で下ろす。
村には数十の家がある。選ばれるのは、そのうちでたった1つだけだ。
家に娘が複数いる場合、誰を出すかはその家で決めていいことになっている。決まったらすぐに、他の家に知らせなければならない。
選ばれた家にはほぼ毎日、誰かしらが訪ねてくる。そうして尋ねる。
そうして尋ねる。
「誰に決まった?」
だから結果はすぐに、村中へ広がることになる。
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