第47話 女子の学級委員長について

 その後も滞りなく親睦会は進みそろそろ終わりが近づいてきた。

 みんなは、最後のオーダーにデザートやドリンクを頼んだ。

 そこで俺は、東條さんに今日の代金を聞いてみんなから集めたお金で払った。少々残ってしまったお金は後日、みんなに戻そうと考えてる。1人あたり200円くらい返せそうかな。

 代金を払い終えた俺は、ゆっちゃんと今日催し物で使った物などをバックなどにしまっていた。



「よし、これで全部片付けたかな。」

「うん、ちゃんと全部揃ってるよ。」



 ゆっちゃんは、チェックシートを見ながらそう教えてくれた。

 一応全部買ったものだが、忘れて帰るわけにはいかないのでちゃんとチェックをしていたのだ。その案を出したのはゆっちゃんなんだけど。



「宮村くん、そろそろ時間だけどまだ伸ばす?」



 俺たちが片付け終えたところに東條さんがそう問い掛けてきた。



「いえ、予定通り終わりにしようと思います。」

「そう、分かったわ。」



 東條さんの返事を聞いてから俺はみんなの前に出た。



「みんなー、一旦席に着いてくれー。」



 俺は、少し大きめの声でみんなにそう伝える。するとみんな、すぐに席に着く。



「みんな、今日は俺たちの指示をちゃんと聞いてくれてありがとう。みんなのおかげでスムーズに動くことが出来た。ここまで予定通り行くなんて逆に驚いているくらいだよ。みんなの様子を見るにきっと楽しんでもらえたんだと思う。今日のこの日がこれからの学校生活で少しでもみんなの役に立てたらいいと思ってる。そして、今日この場を用意してくださった喫茶『ブラン』の皆様、本当にありがとうございました。」



 俺は、喫茶店の店長である東條さんに向けてお礼を言った後に頭を下げる。東條さんも軽く会釈を返してくれた。



「それと星村さん、ゆっ………白神さん、それにこの場にはいないけど黒羽さんも親睦会に向けて色々と手伝ってくれたんだ。みんな、後で簡単にお礼を言っておいてくれ。一応3人とも仮の学級委員長だったんだ。」



 俺がそう言うと少しざわつき出した。

(まぁ、仮だったしみんなに伝えてなかったから当然といえば当然か。)

 あと、手伝ってくれたのは不知火さんもそうなんだが不知火さんの性格上あまりこの場で名前を挙げるのは嫌がるだろうから個人的に後でお礼しておこう。



「それと天海先生からこの場で女子の学級委員長を決めてほしいと言われたのでここで発表しようと思う。」



 俺がそう言うとゆっちゃんの表情が少し強ばる。逆に星村さんは早く言って欲しいみたいな様子でソワソワとしていた。

 学級委員長を誰にするかは決めたには決めた。でも、正直まだ迷ってる部分もあるのだ。星村さんも黒羽さんもゆっちゃんもそれぞれに良いところがあり、そして全員俺の事を支えてくれるだろう。

 だから、1人を選ぶのは難しい。

 それならば逆を考えてみる。俺個人の意見。その3人の誰とならば上手くやっていけるだろうか。そう考えてもこの親睦会が成功した以上恐らく3人と組んでもそれほど大差はでない。

 だからこそ俺は、本当に自分勝手に決めることにした。



「女子の学級委員長は……白神さんにしようと思ってる。」




 俺は、みんなの前でそう打ち明けた。

 最後に考えたのは俺が誰と組みたいか?という本当に個人的な意見だ。



「白神さん、やってもらえるかな?」

「っ!は、はいっ!」



 俺がゆっちゃんにやってもらえるかどうか確かめるとゆっちゃんは大きな声で返事をしてくれた。

 俺は、ゆっちゃんを手招きして呼ぶ。

 ゆっちゃんは、それに応じ急いでこちらへ駆け寄ってくる。



「それじゃ、女子の学級委員長は白神さんに決定したからよろしく頼む。」

「よ、よろしくお願いします!」



 ゆっちゃんがそう言って頭を下げるとみんなから拍手が贈られた。俺もみんなに合わせて拍手を贈る。



「みんなが楽しめるように出来る限りは頑張る。でも、至らない点も多々あると思うからみんなも今日みたいに協力してくれたらすごい助かる。と、話し過ぎたかな。白神さん、何か言いたいことある?」



 俺は、喫茶店に飾ってある時計を見てそろそろ時間が迫ってきていることに気づき、俺の話を終わらせ、白神さんに話したいことがないか尋ねる。



「う、ううん、大丈夫。」

「そっか。それじゃ、今日はこれで解散にしようと思う。みんな、今日はありがとう!」



 俺がそう言い終わるとみんなも「ありがとう」と返してくれた。それからみんな、席を立ち喫茶店を出て行く。

 俺は、みんなが出て行くのを見届けてから黒羽さんにラインを送った。



『親睦会、無事終了』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る