第42話 お手伝い
ゆっちゃんと話しながら喫茶店に向かった。会話はとても弾み楽しい時間を過ごすことができた。だからか、喫茶店に着いた時にはその道のりは一瞬のように感じられた。
だが、スマホで時間を確認してみると16時50分だった。
「結構良い時間帯だな。」
「そうだね。でも、こんなに時間が経ってたなんて思わなかったな〜。」
「うん、俺もあの商店街からここまで一瞬のように感じたんだよな。」
「けーちゃんと話しながらだと時間があっという間に過ぎちゃうんだよね。」
そんなことを話しながら俺たちは、喫茶店に入った。
すると、すぐに篠崎さんが来てくれた。
「宮村くん、白神さん、いらっしゃい。わざわざ手伝いに来てくれて助かるわ。」
「いえ、お願いしたのはこちらなので。それにこれで少しは自分の経験値になると思うので。」
「私もみんなの役に立てるようになりたいので全然大丈夫です。」
「ふふっ、それじゃ、お願いするわね。一応汚れるかもしれないから控え室にエプロンを用意したからそれを着てちょうだい。荷物もそこに置いてきてね。」
俺たちは、東條さんの指示に従うため、まずは控え室に入った。
「私、お店の控え室に入ったの初めてなんだよね。ちょっと緊張しちゃう。」
「ははっ、確かにこういうところって妙に緊張するな。でも、ちょっと楽しいって気持ちもあるんだよな。」
「あっ、それ分かるよ。控え室に来るとお店の一員になったみたいなんだよね。」
「そうそう。っと、手伝いに来たんだからあんまり遅れちゃダメだよな。たぶんこれが俺たちのエプロンだろうからこれを着て早く行こうぜ。」
「うん!そうだね。」
俺たちは、置いてあったエプロンに着替えてから荷物を隅に置き、お店の方に戻った。
そして、俺がお手伝いで主に行ったのはテーブルなどを運んだりする力仕事だ。ゆっちゃんは、俺の運んだテーブルなどをきれいに拭く。その他の作業は最初に出す料理を盛り付けたりそれを運んだりした。
着々と準備も終わってきて俺が今運んでいる料理で最後だ。
「………っと、よし。」
「はい、これでとりあえずは終了ね。ありがとう、宮村くん、白神さん。本当に助かったわ。」
「いえ、私の方もとてもいい体験が出来ました。明日からもよろしくお願いします。」
「私もこういうお仕事をしたのは初めてだったのでとてもいい経験になりました。」
「ふふっ、それなら良かったわ。それじゃ、2人は着替えてらっしゃい。もう何人かお店の前にたっている人がいたからきっとあなたたちのクラスメイトよ。」
「え?そうなんですか?」
俺がお店の外を見てみると4人ほどお店の前に立っていた。
「全然気づきませんでした。」
「とても緊張していたものね。」
「は、はい。」
「宮村くんは厨房で少ないと思うけどお客さんの前に立つ時はもう少し楽にしててね。店員さんが緊張してるとお客さんにもそれが伝わって楽しんで貰えなくなっちゃうかもだから。」
「は、はい!分かりました。」
(明日からはこれがお手伝いじゃなくお客さん相手の仕事になるんだ。ちゃんとそのことを頭に入れないとな。)
俺は、そこで明日の事を考えることはやめて今のことに目を向けることにした。
「皆さん、今日はこの後もよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
俺とゆっちゃんは、そう言って今日この後も仕事があるお店の人たちに頭を下げた。
「はい、任せてください。私たちスタッフ一同、皆さんが楽しめるように尽力します。」
東條さんがスタッフの代表で俺たちにそう言ってきた。
「「ありがとうございます!」」
俺とゆっちゃんは、お礼の言葉を伝え、再び頭を下げた。
「ほら、行ってきなさい。」
「はい、分かりました。」
俺とゆっちゃんは、控え室に入り、エプロンを脱いで荷物を持って裏口から店を出た。
そして、表の方に行ってみると先程よりも多くみんなが集まっている。
俺たちは、そこに合流してから今来ているメンバーを確認してまだ来てないクラスメイト立ちを待つのだった。
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