第35話 買い物の付き添い
昼食を何とか食べ終えた俺たちは、再び景品の買い物を続けた。
と言ってもあとほんの少しだけでそれに午前中にだいたい良さそうなものを見つけていたので最後にこれでいいかみんなと相談して買った。
「予定より早く終わったな。」
俺は、スマホの時計を見て黒羽さんとの約束の時間の4時にはまだは余裕があることを知る。
「宮村くんはこのあとバイト面接があるんだっけ?」
「うん、でも、まだ時間的には早いかな。」
「あとどれくらいで行かないといけないの?」
「4時に待ち合わせだから3時半にここを出たいからあと2時間ってところかな。」
「結構あるわね。それじゃ、これからどうしよっか?」
不知火さんが俺の時間を確認したあと、この後どうするかみんなに聞く。
すると、最初に手を挙げたのは星村さんだ。
「私、服見たい!」
「私は別にいいわよ。」
「私も大丈夫。」
「宮村くんは?」
「あ〜……えっと………」
(女性の服の買い物に俺もついて行っていいのだろうか?)
「私は宮村くんも一緒がいいなぁ〜。」
星村さんが屈託のない笑みで俺を見つめる。
「私も別に宮村くんがいても構わないわよ。」
「わ、私も……その………一緒がいい……な……」
「ま、まぁ、みんながいいって言ってくれるんなら俺も一緒に行かせてもらうよ。」
一瞬、白神さんの言葉にドキッとしてしまったがすぐに平常心に戻り、俺も一緒に行くことを決めた。
「やったぁ!宮村くんっ!行こっ!」
「え?あ、う、うん、って、ちょっ、待って!」
星村さんが俺の手を掴み、ショッピングモールのなかを移動する。
急に手を握られたことにまたもやドキッとしてしまった。
2人が先に行ってしまったことでその場に残された2人はこんなやり取りをしていた。
「本当に仲がいいのね、あの二人。」
「う、うん……」
「………不安?」
「え?い、いや、別に……」
「……そう。………本当にそんな調子でいいのかしら。」
「え?な、何?」
「あんたが宮村くんのことを意識してるのはもう分かってるってことよ。」
「っ!」
「もう今年で4年目よ。由美と一緒にいるのは。ある程度、分かるわよ。」
「……………そ、そっか。」
「そうよ。それで?本当にこのまま何もせずにいいの?今のままじゃ星村さんに……ううん、星村さんか黒羽さんに先越されるんじゃない?」
「っ………それは………」
「そういえば由美ってなんか入学式から宮村くんのこと気にしてたわよね?」
「…………うん。」
「その理由は話したくない?」
「………茜ちゃんは本当に頼りになるからいつも茜ちゃんに相談に乗ってもらってた。でも、この件は私自身で乗り越えたいの。だから、ごめんね。」
「………由美がそんなハッキリ言うなんて珍しいと言うよりも初めてよね。分かったわ、なら、頑張ってね。応援してるわ。」
「う、うんっ!……それとさっきの質問だけどこのまま何もしないつもりはないよ。」
2人がそんな会話をしていたこど俺は知る由もなかった。
それから2時間ほどまるまる服選びに取られてしまった。
3人から試着後に色々と意見を言わされてさすがに疲れた。
「ごめんね、宮村くん。ずっと付き合わせちゃって。」
星村さんがえへへと笑いながら謝ってきた。
「ちょっと疲れたけどみんなの買い物に少しでも貢献出来たなら良かったよ。」
「うんっ!宮村くんに褒められちゃったからいっぱい買っちゃった。」
「たしかにいっぱい買ったな。お母さんに怒られたりしないのか?」
「はっ!し、しまった………ど、どうしよう……」
星村さんは、自分の手に持っている荷物を見てその多さに驚愕していた。
「覚悟するしかないな。」
「ふぇ〜、宮村くん、何とかしてよ〜。」
「俺じゃどうしようもないよ。」
星村さんは、俺に懇願してくるがどうすることも出来ない。まぁ、少しくらいは説得してみるけど。
「宮村くんは、この後直接バイト面接に行くの?」
「うん、そのつもりだよ。黒羽さんと待ち合わせの約束もしてるからね。」
「そっか。それじゃ、今日はここら辺でお開きね。」
「うん、今日はみんなありがとう。本当に助かったよ。」
俺は、今日1日付き合ってもらったお礼を言う。
「わ、私はまだ学級委員長だから気にしないで。」
「あっ、そういえば宮村くん、女子の学級委員長誰にするか決まったの?」
「ああ、決まってるよ。」
「え〜、誰々?」
「それは明日のお楽しみ。」
「ぶ〜、ケチ〜。」
星村さんが頬を膨らませて抗議してくるが俺は断固として拒否した。
星村さんが講義をしてくる中、白神さんも俺の方をチラチラと見ていたので学級委員長のことを気にしているんだろう。
「っと、そろそろ行かないと間に合わなくなりそうだからそろそろ行くね。」
俺は、スマホの時計を見て時間が4時に迫ってきていることを知って俺は少し慌てる。
「そういえば宮村くん、そんなに荷物を持って大変でしょ?少し手伝うわ。」
「え?いや、でも……」
「いいわよ、別に。」
「………ありがとう。」
俺は、白神さんと不知火さんに景品の入った荷物を少し渡す。星村さんは、自分の荷物で大変そうなのでやめておいた。
今さっきまで両手いっぱいに持っていた袋が2人のおかげでだいぶ少なくなり楽になった。
「それじゃ、行ってらっしゃい、宮村くん。」
「じゃあ、また夕飯の時にね〜。」
「ば、バイバイ、宮村くん。また明日。」
「うん、じゃあね。」
俺は、みんなと別れて少し緊張しながらバイト先である『喫茶ブラン』へと向かったのだった。
俺が居なくなったあと、他の3人はこんな会話をしていたのだった。
「2人は、もう帰るの?」
星村さんが2人にそう尋ねる。
「ううん、この後カフェで休憩をしようって考えてたところよ。」
「私もそれについて行っていいかな?」
星村さんは、キラキラとした目で2人に聞く。
「ええ、いいわよ。ね?由美?」
「うん、もちろん。それにちょっと聞きたいこともあったから。」
「やったぁ!それで聞きたいことって?」
「え、えっと、み、宮村くんのことなんだけど……」
「宮村くんのこと?」
「う、うん、えっとね……」
「はいっ!ストッープ!その話は喫茶店でね。」
「あ、う、うん。」
3人は、一緒にショッピングモールの中にある喫茶店に向かったのだった。
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