第31話 明日の予定
金曜日の授業が滞りなく終わり今日は特に学級委員長の仕事もないので帰りのホームルーム後、すぐに荷物をまとめていると黒羽さんから声を掛けられた。
「ねぇ、宮村くん、ちょっといいかしら?」
「ん?どうかしたの?」
「明日は午後4時にバイト先の喫茶店でいいのよね?」
「うん、そうだね。」
「ありがとう、それを確認したかっただけだから。それじゃ明日、よろしくね。」
「俺が何をするってわけじゃないけどこちらこそ。」
黒羽さんは、そのまま教室を出て行った。
(あ〜、バイトの面接かぁ〜。ちょっとドキドキするな。)
「宮村くん、今日も何か用事あるの?」
星村さんが俺に近づいてきてそう尋ねてきた。
「ううん、特にこれといって用事はないよ。」
「そっか。それじゃ、久しぶりに一緒に帰ろう。」
「久しぶりっていつも一緒に登校してるじゃん。」
「登校と下校は違います〜。」
俺と星村さんは他愛もない話をして笑い合いながら教室を出ようとする。
すると後ろの方からまた声をかけられてしまった。
「み、宮村くん、ちょっといい?」
相手は、白神さんと不知火さんだ。
「ん?何?」
「え〜っと……」
白神さんは、星村さんの方をチラチラと見ていた。
星村さんは、それで何となく察したらしい。
「あ〜、私がいたら少しお邪魔かな。それじゃ、宮村くん、私先に帰ってるね。」
「ん〜……白神さん、話ってクラスの親睦会のこと?」
「う、うん。」
「それなら星村さんも一緒で構わないよ。星村さんだって前に学級委員長をやっていてこのことにも関わったんだから。」
「そ、そっか。」
「……いいの?私がいても?」
「うん、大丈夫だよ。それでどうかしたの?」
「あ、明日、宮村くん、催し物の景品を買いに行くんだよね?」
「うん、そうだね。」
「………え、えっと……私たちも一緒に行って……いい?」
白神さんは、少し恥ずかしそうに頬を赤くさせてから聞いてきた。
「うん、いいよ。」
「よ、よかった……」
「全く…一緒について行きたいって言うだけにどれだけ時間かかってんのよ。」
「うぅ……だ、だって……」
「そんなに恥ずかしいならやっぱり私が言えばよかったんじゃない。」
「う、ううん、か、仮でも私は今、学級委員長で宮村くんのぱ、パートナーは、私なんだから私が言わなくちゃだめだよ。」
「はぁ、由美のそういう真面目なところは好きだけどそれならもっと早く言っちゃいなさいよね。今日の朝から言おうとしてたのに結局放課後になってるじゃない。」
「うぅ、ごめんなさい。」
白神さんと不知火さんのやり取りを聞いていると横からつんつんと星村さんから指でつつかれた。
「何?」
「ねぇねぇ、その景品ってなに?」
「昨日、夕ご飯の時に話しただろ?クラスの親睦会で催し物をやるからその時の景品を買ったりするって。」
「あっ、あ〜………」
「聞いてなかったな。」
「え、えへへ。テレビに夢中しちゃって。」
「ったく。」
「ねぇねぇ、私もそれについて行っていい?」
「別に構わないよ。俺一人で選ぶよりもずっといいだろうしな。」
「やったー!」
星村さんは、両手を上げて喜ぶ。
(買い物に行くだけなのにそんなに嬉しいんだろうか?)
「ってことで、星村さんも合わせて4人で行くってことでいいかな?」
「う、うん、大丈夫。」
ちょうど白神さんと不知火さんのやり取りも終わった所だったので俺は一旦区切りを着けた。
「連絡は今日中にラインで報告するから。」
「宮村くん、2人のライン知ってるの?」
「うん、この前聞いた。」
「え〜、ずるいな〜。私知らないのに。」
「ずるいって。」
「ねぇねぇ、私とも連絡交換しよっ!」
星村さんは、カバンからスマホを取りだし白神さんと不知火さんにそう切り出していた。
毎回星村さんのその行動力には凄いと思う。だから、友達も多いんだろう。
(ちょっと羨ましくもあるな。)
「えへへー、2人とも、ありがとね。」
「ううん、私も友達が増えて嬉しいよ。」
「ええ、私も由美に同感よ。星村さんって前から思ってたけどすごい親しみやすいわね。」
「そうかな?そうだと嬉しいな。宮村くんは、どう思う?」
「俺もそう思うよ。」
俺は、星村さんの質問に何も迷うことなく思ったことをそのまま答えた。
「えへへー、そっかぁ〜。」
星村さんは、俺の答えに満足したのか満面の笑みをしていた。
「それじゃ、そろそろ帰ろっか。」
俺は、そう言って下駄箱の方へ向かった。
その日の放課後は、みんなで帰ることになった。
そして、星村さんの家で夕飯をご馳走になった後、自分の家に戻り明日の予定をグループラインに送った。
学校からの帰り道にみんなのグループラインを作ったのだが早速役に立った。
みんなからすぐに返事が帰ってきた。
「明日の昼は白神さんたちと一緒にショッピングモールで買い物。そして、夕方から黒羽さんとバイトの面接。明日は忙しそうだな。」
それに明後日は、とうとう本番のクラスの親睦会だ。
みんなが喜んでくれるかどうかの不安もあるが精一杯俺も楽しみたいな。
そして、その日に俺は決めなきゃいけない。
女子の学級委員長を誰にするのかを。
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