第15話 豪華な昼食

 入学式を終えてゆっちゃんのお母さんに会ったあと、俺は自分の家族と星村さんの家族を交えて食事をすることにした。

 やってきたのは少し高そうなレストラン。

 今日は俺と星村さんのお祝いをしてくれるらしく豪華にしてくれると言ってここに来た。



「うわぁ、結構高いな。」

「ですねぇ。」



 俺と星村さんは、メニュー表を見てその額の高さに驚く。



「こら、子どもが遠慮なんかしてんじゃないの。今さっきも言ったでしょ。これは、お祝いなの。お金は使う時は使わなきゃ。ずっと貯めていても仕方がないんだから。」



 俺の母さんがメニュー表を見て渋っている俺たちを見て注意する。



「そうよ。賢治くんのお母さんの言う通り、遠慮なんて必要ないんだから。」



 それに賛同して星村さんのお母さんがそう言った。



「………なら、遠慮なく……これを。」



 俺は、そう言ってメニュー表に書かれてあった刺身の盛り合わせを指さした。



「じゃあ、私もみや……賢治くんと一緒ので。」


 星村さんも今回はうちの家族がいるということで俺のことは名前呼びにしているがさすがに急にできる事じゃないので何回か言い間違えてる。



「分かったわ。じゃあ、私は………」



 何とか2人からお許しをもらってホッと息をつく俺と星村さん。



「ったく、賢治。こういう時は肉を食わんか、肉を。」



 そう言いながらステーキを頼むじいちゃん。



「お肉もちゃんと食べてるよ。今日は、あんまり食べない刺身を食べてみたいなって思ったからそうしたの。」

「肉を食べているのならよし。」



 そう言って頷くじいちゃん。

 こんな歳になってもまだまだステーキを食べようとするじいちゃんは尊敬する。俺も老いたとしてもそれくらいは余裕で食べれるようにしたい。

 それからみんなの注文を店員さんに頼み終わり10数分後に俺と星村さんが頼んだ刺身の盛り合わせが運ばれた。



「おお、美味そう。」

「本当ですね。すっごい綺麗に盛り付けされてて食べるのがもったいないくらい。」



 俺と星村さんは、運ばれてきた刺身を見て目を輝かせる。



「私たちのことは待たなくていいわよ。せっかく美味しそうな刺身なんだから早く食べたいでしょ。」

「じゃあ、遠慮なく先に食べてよっか。」

「ああ、そうだな。」



 俺と星村さんは、合唱をした後、刺身を箸で持った。

 俺は、最初にはまちの刺身だ。星村さんは、鯛の刺身。どちらも美味そう。

 俺たちはゆっくりと刺身を口の中に入れる。



「〜っ!美味しい〜。」

「うん、美味しい。」

「ね!そうだよね!すっごい美味しいよね!」

「ああ、久しぶりに刺身なんて食べたけど………うん、魚もいいかもな。」

「あ、なら、今度、お魚の煮付けでも作ろっかな。まだ1回も作ったことないから上手くいくかわからないけど……」

「蛍さんなら大丈夫だよ。きっと美味しく作れるよ。」

「えへへ、ありがとう。そんなこと言ったんだから賢治くん、ちゃんと残さず食べてよね。」

「ああ、分かってるよ。」



 俺と星村さんがそんな会話をしていると隣から視線を感じた。

 俺の隣に座っているのは星村さん、それと星村さんの反対側に座っている琴音だ。この視線は琴音からだ。



「どうしたんだ、琴音?」

「………お兄ちゃん、蛍さんと随分と仲が良いんだなって思っちゃって。」

「ん?そうか?まぁ、仲がいいと思われたんなら嬉しいよ。」

「ふ〜ん。」



(なんでいきなり琴音の機嫌が明らかに悪くなってんだ?)



「ふふふ」



 俺が今の蛍の態度に疑問を抱いていると蛍さんの方から笑い声が聞こえた。



「ん?蛍さんもどうしたんだ?」

「ううん、なんでもないですよ。ふふっ、琴音ちゃんは可愛いですね。」

「ま、まぁ、それは否定はしないが……」

「っ!……お兄ちゃん……」

「ん?」

「賢治くん、すごいキッパリと言うね。」

「だって、そう思ってるからな。」

「〜っ!」



 また、琴音の様子が変わった。今度は喜んでいる。

 不機嫌になったり喜んだり、琴音は忙しい奴だな。

 その後、みんなの食事も運ばれてそれぞれの食事を楽しんでいった。



「あ、お兄ちゃん、私のステーキ、1切れあげるからお兄ちゃんの刺身も1つちょうだい。」

「ああ、構わないよ。はい。」

「ありがとう。はい、こっちもステーキ。」



 俺と琴音はお互いの料理をわけ合いっこした。

 こっちのステーキもものすごく美味しそうだ。



「そんなふうにご飯を分け合いっこするなんて本当に仲がいいんですね。」

「ん?これくらい普通の兄妹でもすると思うぞ。」

「そうかなぁ?私は、一人っ子だからよく分からないけどでも、傍から見たらものすごく仲がいい兄妹なんだなって思います。」

「そっか。まぁ、そう思われてることはいいことだな。なっ、琴音。」

「義理の兄妹ですけどね。」

「あれっ!?琴音はそんなに肯定的ではない!?」



 琴音は、なぜかそんなに機嫌が良くなかった。

 結構前は仲がいい兄妹って言われると嬉しそうにしてたのにこの頃は少し残念っぽい?と言うより不機嫌になるんだよな。

 お兄ちゃん、そんなに悪いことしちゃったのだろうか?

 今は星村さんたちがいるからその原因を聞くわけにはいかないけど今度聞いてみよ。

 その後、昼食を食べ終わり星村さんたちと家へと帰って家の前で別れたのだった。

 そして、琴音たちは俺の家で一泊してから家へと帰っていった。

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