第10話 久しぶりの再会

 俺は、琴音たちを迎えに琴音たちが降りる駅まで行った。

 その駅は、家から徒歩で約5分なのでだいぶ近かった。

 俺は、スマホを取りだし周りを見回した。



「そろそろ着く頃なんだけどな〜……」



 その時、ちょうど電車が駅に止まった。数分待っていると小柄な少女が駅から飛び出してきた。そして、俺の姿を確認するとパァーっと顔を明るくして俺のもとへ走ってきて抱き着いてきた。



「お兄ちゃん!久しぶり!」

「ああ、久しぶり。って言っても毎日、連絡してただろ?」

「確かにそうだけど……やっぱり直接会える方が嬉しい!」



 琴音は、そう言って抱き着く力を強めた。

 そんなことをしていると駅の方から4人ほど、人が出てきた。



「あれ?じいちゃんにばあちゃんも来たんだ。」

「久しぶりだな、賢治。ちゃんと鍛錬は怠ってないか?」

「はい、毎日欠かさず筋トレにランニング、その他にもちゃんとしています。」

「そうか。それならいい。」

「全く、孫に久しぶりに会って最初の一言がそれですか。………それよりも賢治、少し痩せね。」

「え?そうですか?」

「なに!?賢治、ちゃんと肉を食わんか!」

「ちゃんと毎日、食べてるよ。痩せたのはまぁ、1人で引っ越して来たから色々あったからだよ。」

「そうかい?それならいいんだけど、無理だけはするんじゃないよ。」

「ありがとう、ばあちゃん。」



 久しぶりにじいちゃんとばあちゃんに会ったけど元気そうだ。



「賢くん、そろそろお家に案内してもらって大丈夫?」

「あ、ああ、そうだったね。こっちだよ。」



 俺が家へ案内を始めるとさすがに琴音も邪魔だと思ってくれたのか離れてくれた。だが、琴音はすぐに俺の手を握ってきた。



「これだけは譲れないよ。」

「全く……仕方ないな。」



 俺は、苦笑しながら琴音の手を握り返しみんなを家まで案内していった。その道中に琴音が俺にこう言ってくれた。



「あ、言い忘れてたけどお兄ちゃん、その制服すごい似合ってるよ。」

「おっ?そうか、ありがとう。」

「えへへ、とってもかっこいい。」



 琴音の満面な笑みが俺の心に染み込みすごい癒される。

 そして、それから色々と話しているとすぐに家に着いた。



「ふわぁ〜、大きな家だね。」

「ああ、俺も最初見た時はすごい大きいなって思った。」

「…………ここが来年からお兄ちゃんと暮らす家か………」



 琴音がうっとりとした表情で家を眺めている。

 俺は、そんな琴音に声を掛けることはせず家の鍵を開けてみんなを家の中に入れた。



「俺は、もう学校に行くけどみんなはまだ来なくていいよ。入学式は9時半からだからそれに間に合うようにすればいいから。」

「え〜、お兄ちゃんと一緒に行きたかったぁ〜。」

「来年、琴音がうちの学校に入学したら一緒に行こうな。」

「うんっ!」



 琴音も納得してくれたようなので俺は学校のバックを持って玄関へと行き、みんなに見送られてから家を出た。

 俺が家から出て学校へ行こうとしていると星村さんもちょうど家から出てきた。



「あっ、宮村くん!宮村くんも今から行くところなんですか?」

「ああ、そうだよ。星村さんも?」

「はい、私もちょうど行こうと思っていたところです。」

「そうだっのか。それじゃ、一緒に行くか。」



 と、そんな話を星村さんとしていると星村さんの家から星村さんの父親と母親が出てきた。



「話し声がすると思ったらやっぱり賢治くんが来てたのね。」

「賢治くん、制服がよく似合ってるね。」

「ありがとうございます。ほし……じゃなくて蛍さんもよく似合ってて可愛いですよ。」

「ふぇっ!?……あ……あ、ありがとうございます……宮村くんも……かっこいいですよ………」

「あらあら、この子ったらこんなに照れちゃって。」

「お、お母さんは、少し黙ってて!」

「ふふふ」



 星村さんの家族は明るくてみんながいつも笑顔だ。俺もこの中に入れてもらえて本当に光栄だ。



「み、宮村くん!そろそろ行こ。入学式初日から遅刻してたら完全に先生に目をつけられちゃうよ。」

「ああ、確かにそうだな。」



 星村さんは、早口で俺を促す。俺もそれに相槌をうち、星村さんの両親に向き直る。



「賢治くん、また学校で会おうね。蛍の写真はもう撮ったが君との2人での写真がないからね。面倒だと思うが後で撮らせてくれないかな?」

「それくらいならお安い御用ですよ。」

「ふふっ、蛍、良かったわね〜。一緒に撮ってくれるって言ってくれたわよ。」

「ほ、本当にお母さん、うるさい!」



 星村さんは、怒ったのか俺に早く行こうと言って学校への通学路を歩いていった。俺も2人に行ってきますと言ってから星村さんの後を追いかけた。

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