第165話【美陽さんの好きな人】

「わ、私が伽々里部長が好きだとして、それがどうしたというのですか!?」


美陽さんは顔を真っ赤にしながら言う。


「まっちゃんと伽々里部長が結婚したら沙耶ちゃんとしてもお母さんのまっちゃんが幸せになって嬉しい、沙耶ちゃんが家を出てもまっちゃんが一人になることは無くて安心。

といいことずくしでしょ?」


母さんはグーから人差し指と中指を順番に上げながらいい、そのままピースを作り美陽さんに向ける。


「そ、それはそうですけど。

私はもう結構な歳ですし沙耶という子供もいます。

そんな人と結婚したいという人はいないですよ」


「そんな事ないわよ。

伽々里部長も絶対にまっちゃんに気があるって!

私が恋のキューピットやってあげるし!」


母さんは自信満々な顔を作る。

母さんに恋のキューピットなど務まるとは考えられないんだが?

少なくとも俺なら絶対に頼まない。


「で、ですが。

ほ、ほら、沙耶の気持ちもありますし。

父親になるわけですから」


「私はお母さんが幸せになれるなら賛成するよ。

お義母さんが賛成しているって事は悪い人では無いみたいですし」


美陽さんは少しでも味方を増やそうと沙耶に話を振るが逆に敵を増やす結果になってしまった。!


「ほら、沙耶ちゃんもこう言ってるし、まっちゃんも腹括りなさい」


「は、はいぃ」


「ねぇねぇ、お母さん。

その伽々里さんってどんな人なの?」


母さんと美陽さん以外の皆がずっと気になっていたことをカエデが聞いてくれる。


「どんな人かぁ〜。

ん〜。

あ、そうだ。

どうせだからまっちゃんに聞きこうか。

ねぇねぇ、まっちゃん。

伽々里部長ってどんな人?」


母さんは一度考えたあと、面白いことを思いついたと言わんばかりにニヤニヤして美陽さんに話を振る。


「もう勘弁してくださいよー」


「いいからいいから。

ね?

沙耶ちゃん。

将来お父さんになるかもしれない人のことはお母さんから聞きたいわよね?」


「そうですね〜。

さ、お母さんも観念して」


「も〜。

沙耶まで」


「えっと、か、伽々里部長は優しくて、カッコよくて、部下をしっかり見ていてフォローまで完璧な人で私も何度もたすけてもらいました」


美陽さんは小さな声でポツポツと言葉を並べる。


「お母さん顔赤くしちゃって可愛い〜」


「もう、沙耶!」


そんなこんなして夕食は終わり帰宅することになった。

俺と沙耶の同棲の話はまた美陽さんの再婚が決まってから進めることになるらしい。

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