第163話

「にっくだー!

私はお腹がすいたぞ〜!」


帰り道、一度沙耶の家に行き沙耶の母親である美陽さんを連れて夕食を食べに来ていた。

場所は沙耶と付き合い出す前に、父さん以外の五人で来たことのある高級焼肉店だ。

今回は昼食ではなく夕食なので皆の食べる量も多くなるだろう。

自分が払うとなればハラハラものだが高所得者の母さんの奢りなのでどのぐらいの値段になるのか楽しみだ。


「母さん、いくら個室だからって大声出さないでくれ」


「おにくっおにくっ!」


「こら、カエデも落ち着きなさい」


俺が母さんを、父さんがカエデさんを窘める。

なぜ家の女性陣はこう騒がしいというか芸人気質なのだろうか?


「はぁ〜、私が二度もこんな高級店に来ることになるとは思いませんでした」


美陽さんはそんな事を呟き遠くを見ている。


「また、大袈裟な〜。

今日もお代は私が持つから好きに頼みな〜。

あ、今回も金箔が乗ったやついっとく?」


そう言いながら母さんはペラペラと注文表をめくる。


「親子共々、本当にありがとうございます」


「いいのいいの、社員の指揮を上げるのも次期社長としての責務よ〜」


美陽さんと美陽の隣に座っていた沙耶が母さんに頭を下げ、それに対し母さんは軽い感じで返す。


「あれ?

次期社長って佐藤さんのお兄さんになる予定でしたよね?

この前、昇級するって話はしてましたが社長では無かったですよね?」


「まぁ、そうの予定だったんだけどねぇ〜。

知っての通り、昨日今日と実家に行ってたんだけどね。

何かクソ兄貴とそのクソ息子が問題を起こしたらしくてお父さん私が次期社長でその次は快人ねって」


「へ?」


「間違っては無いよ、間違っては無いけどなんか軽過ぎない!?」


「えっと、誠のお話でいらっしゃいますか?」


美陽さんは驚きのあまり変な話し方になってしまった。


「ほんとだよ〜。

沙耶ちゃんは、将来は社長夫人だよ。

やったね!」


母さんがウインクとグーサインを美陽さんに送る。

いや、だから軽すぎだって。


「.........」


「あ、美陽さん固まっちゃったね」


カエデはそう言って固まったままの美陽さんをちょんちょんとつつく。


「えっ」


「え?」


「ええぇぇぇーー!」


固まっていた美陽さんは動きたし驚きの声を上げる。

俺はなかなか大きな声だったので怒られそうだなぁ〜と思いつつお水を口に運んだ。


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それではまた来週、バイバイ(´ー`)/~~

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