第157話【食事のマナー】
「ねぇねぇ快人くん。
昼食ってどんなものが出るの?
高級ホテルとかで出てくるディナーみたいなのかな?
どうしよう。
私食事のマナーとかわからないよ〜。
怒られるかな?もしかしてそれがきっかけで快人くんのおじいちゃん達に嫌われたらどうしよう!」
先程まで俺に頭を撫でられていた沙耶は昼食の準備が整ったことを三田さんが伝えに来た途端、思い出したかのように慌てて飛び起き慌て始めた。
「大丈夫じゃないか?
今までは神社の叔父さんの家とあんまり変わらなかったぞ。
まあ、素材の質はかなり高かったけどな。
礼儀も特に怒られたこともないし、もし何かあっても母さんが助けてくれるって」
「でもでも!
それは快人くん達がおじいちゃんが社長だって知らなかったからかもしれないよ!
それに、今までは必要なかったけどゆくゆくは快人くんは社長になって私は社長夫人になるんだから必要になることだよね!
だから!だから!」
本当に沙耶は俺と結婚する気満々だな。嬉しいけども。
「だから大丈夫だって。
ほら、深呼吸して」
「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「それラマーズ法な」
またベタなボケを。
実はこいつ余裕あるな。
「早く落ち着いて行くぞ。
ここでもたもたして待たせる方が怒られるんじゃないか?」
「そ、そうだね!
早く行かないと!
あー!でも私さっきまで横になってたから髪がぐちゃぐちゃだよ!
どうしようどうしよう!」
「気にすんな、多少髪が乱れてようが沙耶は変わらず可愛いんだからさ。
ほれ、行くぞ」
「あー!
快人くん、待ってよー!」
このままだと埒が明かないと思い適当に話を切り上げて部屋を出て三田さんに食堂まで案内してもらう。
「お待たせ」
「お、お待たせしてしまい申し訳ありません」
食堂に入ると他の皆はもう揃っていた。
「お兄ちゃん達おそーい!
ご馳走を目の前にした私を待たせるなんて考えられない!」
豪華なお寿司を目の前にしたカエデがブンブンと腕を振りながら抗議してくる。
「はいはい、悪かったよ」
「よし、皆揃ったし食べるか。
見ての通りまあまあいいお寿司だ。
好きなだけ食べなさい。
いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
おじいちゃんの挨拶に合わせてみんなが挨拶をして食べ始める。
「お、本当にいいお寿司だな。
スーパーや回転寿司とは比べ物にならない」
「もぐもぐ、そうだねお兄ちゃん!もぐもぐ、私箸が止まらないよぉ!」
カエデは凄い勢いでお寿司を口に詰め込んでいく。
食べ方が汚い。
沙耶には気にするなと言ったがこいつはもう少しどうにかしろよ。
「あれ?
沙耶さん、どうしたんだい?
箸が進んでないようだけど。
もしかして生魚ダメだっかのかな?」
あまり箸が進んでいない沙耶を心配そうに見ながらおじいちゃんが言葉をかける。
「い、いえ!
私もお寿司は大好物です!」
「はははっ。
おじいちゃん、沙耶は食事のマナーを気にしてるんだよ。
粗相をしておじいちゃん達に嫌われるんじないかって」
「あ、快人くん!」
「ああ、そんなことか。
確かに食事のマナーをしっかりしなければいけない場面はある。
だが今回は家族団欒の場だ。
そんなことは気にせず楽しく食べればいいんだよ。
それにそんなことを言ったらカエデはどうなる?」
「わはひ?」
「口に食べ物を入れたままで話すなんて食事のマナー的には考えられんなだろ」
「ゴックン。
本当に沙耶さんは気にしすぎなんだよ。
美味しいものを美味しく食べるのが唯一無二のマナーだよ!」
「もうお前は黙って食べなさい」
「ふぁ〜い」
カエデはまた口一杯にお寿司を頬張りながら返事を返す。
「それに食事のマナーもしっかりと教えるつもりだから安心しなさい」
「はい、ありがとうございます。
それでは改めていただきます」
もう一度挨拶をしてからお寿司を箸で掴み口に運ぶ。
「あ、美味しい」
「それは良かった。
一杯食べなさい」
おじいちゃんは優しく微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます