第152話【一般人として】
「マジか〜。
もし今回は私がやるとして次は誰にするとか決めてんの?
私、結構早めに会社辞めるつもりなんだけど」
母さんは今でも結構な稼ぎがあるし浪費癖が激しいわけでもない。
なので結構な貯金があるわけで本人曰く50歳ぐらいには両親とも仕事を辞めてのんびり暮らす予定らしい。
もし母さんが社長をするなら給料はもっと良くなるわけで辞めるのもその分早くなるのかな?
「何事も無ければ快人に任せることになるだろうな」
「そうよね〜。
まあ、私が言うのもなんだけど快人は結構いい息子だからね。
快人、自分ではどう思う?
社長になりたい?」
「なりたいかなりたくないかで言われたらなりたくないよ。
母さん達の会話を聞いててこういうことになるかもって思ったから考えてたんだけどやっぱり荷が重い。
でも、やった方がいいのは何となくわかるから準備と言うか社長になるための勉強時間をちゃんと取ってくれてフォローもしてくれるならやってもいいと思ってる」
「ありがとう、快人。
勉強もフォローもちゃんとするからよろしく頼む」
おじいちゃんはそう言って軽く頭を下げる。
孫に頭を下げるって余っ程だよな。
やっぱり、受けて正解だったな。
「うん、わかったよ」
「快人、期待してるわよ〜!
さっさと使えるようになって私を楽させなさい。
そして、早く辞めさせなさい」
「嫌だよ。
ちゃんと定年まで働け」
「絶対にいや!
あ!
お父さん、私が社長になっても会長として当分は働いてね」
「ああ、わかった」
「よし!
話終わり〜!
はい、かいさ〜ん!」
「ちょっと待ってくれ」
母さんが話を終わり〜と立ち上がったところでおじいちゃんが止める。
「なに〜まだなんかあるの?
私達着いたばっかりなんだけど、疲れてるんだけど!」
「わかってるが少し待て」
「はいはい」
母さんは大人しく座り直す。
「さて、沙耶さん」
「は、はい!」
名前を呼ばれた沙耶は、ビクッと身体を震わせ驚いたような返事をする。
まさか自分に話が振られるとは思っていなかったからだろう。
「だからこそ、今回の話は沙耶さんに一番申し訳ないと思っているんだ。
ああ、勘違いしないでくれ、まだ会ったばかりだが理恵子から君の話を聞いて好ましく思っているし、出来れば快人とは今後ともよろしくやってもらいたいと思っている」
おじいちゃんは何を言いたいんだ?
別れろとかそういう話ではなさそうな感じだけど、今の話に沙耶に関係するところあったか?
「あの、ならどういうことなのでしょうか?」
「社長の妻になるってことはね。
結構しんどいことなんだよ。
テーブルマナーや相手の見極め方、大企業の重役の顔と名前を覚えたりと勉強面でもそうだが、陰口を言われたり聞きたくないことも聞かなければいけなかったりするんだ。
勿論、私と妻が勉強のサポートもするしフォローもするつもりだが、それでもしんどいと思うことは多いと思う。
理恵子達は身内だから情けないことだが我慢してくれと言える。
だが君はまだ違うだろ?
今、快人と別れればこれからも一般人として普通の生活を送ることが出来る。
それでも、快人とこれからも一緒に歩んで行ってくれるかい?」
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