第142話【血の繋がりが憎い!】

「それでは出発!!!」


「「「おー!!!」」」


車に乗り込み母さんの声に合わせてカエデ、父さん、沙耶の三人が声を上げる。

沙耶も緊張が抜けていつも通りになって良かったとは思うがボケ要員が多くなり過ぎてツッコミ担当の俺のストレスがヤバいです。


そして今日は五人いるということで母さんの愛車であるメルセデス・〇ンツではなくレンタカーのベ〇ファイアである。

母さんの愛車も五人乗りではあるのだが荷物のことを考えるとパンパンになってしまうのでレンタカーになった。


「それにしてもカエデがよく快人と誰かが付き合うことを許したよな〜」


突然、助手席に座っている父さんが呟いた。

みんな思うことは同じなんだな。


「本当にみんなそれ言うよね。

みんなは私がどんな行動を取ると思ってたんだろう?」


「ごねるもしくは相手の子を精神的に潰す」


「うわ、酷い!」


父さんの答えにカエデが抗議の声を上げる。


「いや、俺だけじゃなくてみんな思ってると思うぞ」


「うん、私も思ってたわ」


「ぐぬぬ」


母さんの参戦によりカエデは敗北してしまった。


「まあ、私がお兄ちゃんの事が好きすぎてたまらないことは事実だけど私達が兄妹な以上、結婚が出来ないからね。

そこに私に勝るとも劣らないほどお兄ちゃんが好きな沙耶さんが現れたからこの人ならいいかなぁって」


あれ?

何か前に聞いたことあるような?


「ありがとう、カエデちゃん!」


「どういたしまして、沙耶さん!」


何か抱きつき出したぞこの2人。

俺真ん中なんだから辞めてくれよまじで。


「じゃあ、もしもだけどさ」


「なに?」


「カエデと快人が本当の兄弟じゃなかったって言ったらどうする?」


「そんなの決まってるじゃん。

全面戦争だよ。

例え相手が沙耶ちゃんだったとしても容赦は出来ないよ。

私の全てをかけて潰しに行くよ」


カエデがドス黒い笑顔で父さんの質問に答える。


「そ、そうか。

あながち俺達の考えは間違ってなかったと言うことだな」


「で、お父さん。

私とお兄ちゃんは本当の兄妹なの?

回答によっては今後の作戦も考えないといけないから今回の実家帰りは私パスで」


「ねぇ、カエデちゃん?

物騒なことはやめよ?

ね?」


「沙耶さん。

女には例え相手が友達でも戦わなければいけない時があるんだよ」


「うわぁーん!

カエデちゃんが怖いよ!

快人くん助けてー!」


そう言って沙耶が抱きついてくる。

胸が当たって役得でごさる。


「はははっ。

二人とも落ち着きなよ。

二人はちゃんと血が繋がった兄妹だぞ」


父さんは笑いながらカエデを窘める。


「快人、さっきからずっと黙ってどうしたんだ?」


「ん?

いや、もし俺とカエデが本当の兄妹じゃあなかったら俺はどうしてたんだろうなって考えてただけだよ」


「で、答えは?」


「んー。

今知ったんだったら何も変わってないかな。

でも最初から知ってたんだったらカエデと付き合って結婚しようとしたと思うよ」


「え!?

お兄ちゃん本当!!!」


「ああ、冗談抜きでお前は超優良物件だと思うぞ。

ただ一つの弱点であるブラコンも兄である俺なら関係ないしな」


「くそう!

血の繋がりが憎い!」

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