第140話【巫女のコスプレ】
「どっちから行くんだ?」
「んー多分神社の方だと思う」
「おけー。
そう言えばカエデ、今年も巫女のコスプレするのか?」
「巫女のコスプレ?」
沙耶が首を傾げて聞いてくる。
「多分するかな?
毎年、おばあちゃんの家に行った時に巫女のコスプレしてお手伝いしてるんだ!」
「へぇー。
そうなんだ。
楽しいの?」
「うん!
観光客とかがいっぱい写真撮ってくるからなんかアイドルにでもなったような感覚があじわえて楽しい!
沙耶さんも一緒にしようよ!」
「ん〜。
写真は前までいっぱい撮られてたしなぁ〜」
沙耶はもともと写真撮られるのが好きとかそんなんではないって言ってたしな。
「ちなみにお兄ちゃんは巫女のコスプレ結構すきだよ」
「やります!」
沙耶は勢いよく手を挙げる。
「ねぇねぇ快人くん。
快人くんは巫女のコスプレが好きなの?
それともコスプレ全体が好きなの?」
「なんでいきなりそんな話になるんだよ」
「そういうのいいから。
これは今後の私と快人くんの人生に大きく関わってくる問題なんだからちゃんと答えて」
いつになく真剣な表情だな。
これはコスプレ全体が好きって言ったら俺の好きなコスプレをバンバンしてくれるってことでいいのかな?
それともコスプレ好きとかひくわーとかそっち系か?
「え、えーっと。
コスプレは好きですよ勿論。
てか嫌いな男子はいないと思うぞ?」
「やっぱりそうなんだ」
「沙耶は俺がコスプレしてくれって言ったらしてくれるのか?」
「ま、まあ、余程の物じゃない限りは頑張ってみるつもりだよ?」
「マジか!」
「うわー。
お兄ちゃんめっちゃ嬉しそう。
コスプレ好き変態、まじひくわー」
いつも思うんだがこいつの棒読みってなんでこんなにうまいんだろうか?
「そうか、カエデはコスプレ好きのお兄ちゃんは嫌いか。
お兄ちゃん、悲しいけど仕方ないな。
今までありがとう、これからは赤の他人として振る舞うようにするよ」
「やだなぁ〜。
冗談だよ冗談!
私がお兄ちゃんのこと嫌いになるわけないじゃん!」
カエデは慌てて俺に抱きつき誤魔化そうとする。
「あの、止めて貰えませんか?
自分、彼女いるんでそういうの困るんです」
俺はそう言ってそっとカエデの体を離す。
「えっ!
ちょっとごめんって!
そんなマジにならないでよ!
一回だけお兄ちゃんがして欲しいコスプレしてあげるから!」
「なら許そう!
おいで」
「お兄ちゃん〜!」
俺が手を広げるとこそにカエデが飛び込んできた。
「なにこの茶番」
「いつもの事でしょ」
「まあ、仲悪いよりはいいんじゃないですか?」
何も言わずに見守っていた三人の冷たい目が俺とカエデを見ているが俺たちはそんなことは全然気にしないのだった。
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