第139話【神主とお金持ち】

「ねぇねぇ。

快人くんのおばあちゃんの家ってどこにあって何してるの人なの?」


「あ、そうだな〜。

父方の方が兵庫県にある神社の神主をしてるよ。

で、母方の方はよく分からないんだよね。

いつも行ってるのは静岡県の富士山の近くなんだけどなんか別荘みたいなんだよね。

何故か実家には連れて行ってもらったことないし職業を聞いても教えてくれなかったんだよね」


毎年会った時にそれとなく聞いているが「お前達が大人になったら話してやる」とか言って誤魔化してくる。


「え?

そうなの?」


「うん。

なあ、カエデ?」


「そうなんだよ!

職業を教えてくれないのに別荘は大きいからかもしかしてやばい仕事なんじゃないかってちょっと不安なんだよね」


「そろそろ話してもいいかもしれないわね。

ちょっと待ってなさい」


そう言って母さんは立ち上がり携帯を持って廊下に出ていった。


「誰かに電話かな?」


「話していいかの許可を取りに行ったんじゃないか?」


「お待たせ〜」


母さんは廊下に出てから約十五分ほどで戻ってきた。


「で、どうだったの?」


「いいって」


「それではお願いします」


「ごほん!

お母さんの実家はね。

実は超お金持ちなのです!」


「うん。

それは何となくわかってた」


さっきそれはカエデが言ってたじゃん。


「ただのお金持ちじゃないのよ。

私やまっちゃんが働いてる会社の会長さんなのですよ!」


「「「「え!?」」」」


ここにいる母さん以外の驚きの声が同時に出た。


「ちょって待って!

母さん達が働いている会社って大企業だよね!?」


「そうよ。

凄いでしょ!」


「いや、凄いってレベルじゃないだろ?

でも母さんがこの歳で部長職についてる理由がわかったよ」


いいよなコネって。

俺もコネ入社させてくれないかな?


「ぶっぶー。

私が部長職に着いてるのは実力ですー!

確かに私の昇進を妨害する人がいないのは確かだけどちゃんと平社員から初めましたー」


あ、母さんちょっと拗ねてるな。


「ごめんごめん。

母さんは凄い人だって美陽さんから聞いてるよ。

でもいいよな。

俺も平社員で十分だから大学卒業したら入れてくれないかな?」


「さすがまっちゃん!

あんたがそのつもりなら入れてもいいわよ。

私の権力でね。

いい大学行ってちゃんと卒業するのが条件だけどね」


「いい大学行って卒業はするつもりだけど母さん自身にそんな権力あるのか?

部長職ってそこまで強いの?」


「ふふふっ。

それは問題ないわ。

聞いて驚きなさい!

私は来年から役員になることがつい先日決定しました!」


「え!

マジかよ!」


「お母さんすごい!

給料上がるんだよね!

私のお小遣いも上がるよね!」


「おめでとうございます!」


「ほへ〜。

またリエが遠くに行ってしまうのね」


「うむ、ありがとう、皆の衆。

あと、お小遣いは上げません」


「けちー」


「まっちゃんも何言ってんのよ。

どれだけ役職が離れようと私達の関係は変わらないでしょ?

それにまっちゃんも昇進しやすくなるかもしれないから逆に嬉しいんじゃない?」


「そうね。

そういう考えもあるのよね。

エリ様どうか私も昇進させてくださいませ」


「まあ、そのうちね」

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