第133話【メール】

ピロリン!


「ん?」


携帯にメールの着信音がなったので内容を確認するべく携帯を手に取る。


「どうしたの?」


「あ、悪い。

デート中に携帯いじって。

不謹慎だよな」


俺は、慌てて携帯をポケットにしまおうとする。


「いいよいいよ。

気にしなくて。

で、誰から?」


沙耶がいいと言うので携帯を再度取り出し開く。


「カエデからだな。

お、花火がよく見えるスポット一覧だって」


「おー!

さすがカエデちゃんだね!

気が聞いてる!

私も調べなきゃと思ってたんだけど浴衣に意識がいっちゃって忘れてたよ」


「俺もそうだな。

悪いな、リサーチは男がするものなのに」


「その辺のカップルはわからないけど、私達は男だからとか女だからとかは無しだよ!」


「ああ、そうだっな」


基本俺達は男だから奢らないといけないだとかデートプランは男が考えるだとかは一切ない。

割り勘にした方が男の方のお金が無くなって遊びに行けないということがないし、二人でプランを練るのにも楽しさを感じる。それにデート本番も何の不満もなく楽しめるからだ。

あ、誕生日のサプライズなんかは別の話ね。


ピロリン!


「ん?

またカエデからだな」


「次はなんて?」


「んー、ん!?」


「どうしたの?」


「いや、何も無いよ。

ちょっとした冷やかしみたいなものだった」


「ふぅ〜ん。

で、何処がよさそう?」


ふぅ〜。

上手く誤魔化せたか。

あいつなんてものを送ってきやがる!


カエデから送られてきた二通目にはここの近くにあるラブホ一覧だった。

確かにいるかもしれんよ!

だけと今は沙耶がいて見られる可能性があるんだよ!

そこんとこ配慮しようよ。


「快人くん。

どの辺が良さそうなの?」


「ん?

何が?」


「花火がよく見える場所だよ!」


「あ、ああ、そうだったな。

ちょっと待ってくれ」


「どうしたの?

大丈夫?

もしかして人混みにやられたの?」


「いや、大丈夫だよ。

ごめんちょっとぼーっとしてた」


「本当に?

ダメだったら早めに言うんだよ。

もし倒れでもしたら楽しい思い出が悲しい思い出になるかもだし」


「うん、ありがとう。

本当に大丈夫だよ。

だから今日はちゃんと楽しい思い出をめいいっぱい作ろう」


やばいやばい、カエデの送ってきたラブホ一覧を見ながら考え事してたら沙耶に体調の心配されてしまったな。


「んーと、ここなんかどうだ?」


そう言って沙耶にカエデから送られてきたメールに添付されていた写真を見せる。


「おーいいねえ!」


それはこの場所の近くの階段を登ったところにある公園だ。


階段もあるし結構な労力がかかるが人も少なく花火が見やすいとこらしい。


「少し歩くが大丈夫か?」


「もちのろん!」


「じゃあ行くか」


「うん!」


そう言って俺は沙耶の手を握り直し目的の場所に向かって歩いていく。

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