第123話【男どもの視線】
「よし!
これに決めた!」
結局カエデが下着を選び終わったのは俺の予想通り昼前だった。
「お兄ちゃんお金!」
「俺はお金じゃないぞ」
俺はそう言いながら手早く支払いを済ませ俺達は急いで海に戻る。
ちなみに値段は上下で7千円と結構高いやつ選びやがった。
ここでダメと言うとあと一時間はかかると思いやむなく俺が折れた。
「すまん。
みんなお待たせ」
「お、やっと帰ってきたか」
「えへへっ。
お兄ちゃんに買ってもらっちゃった!
いいでしょいいでしょ!」
カエデは俺が買った下着が入った袋を大事そうに抱えはしゃいでいる。
「カエデちゃん。
みんなを待たせたんだから、ごめんねでしょ?」
さすがに沙耶も怒っているのか怖めの笑顔でカエデに注意をする。
「はうっ!
み、皆様、大変お待たせしていまい本当に申し負けありませんでした!」
「よろしい」
「じゃあ、昼飯にしようか」
ジンがそう切り出してこの海水浴場にある海の家に行きそれぞれ昼食頼み席に座る。
「わかってはいたがやっぱり気になるな」
「なにが?ってまあ、あれしかないよな」
俺の呟きにタクが同意してくれる。
「やっぱり、視線がなぁ〜。
主に男子の」
「こんなに美少女が一箇所に集まってたらみんな注目するのもわかるんだが結構精神的にくるな」
「俺らが戻って来るまではそうでもなかったのか?」
「いや、視線は今とあんまり変わらないぐらい集めてたしナンパとかも寄ってきてめんどかったぞ」
「へぇ〜、やっぱりナンパとかされてたんだな」
「ああ、すぐに警備員呼んで退治してもらったけどな」
「いや〜やっぱり美少女は困るね〜。
だよね沙耶さん!」
カエデがまた調子に乗り出した。
「沙耶はともかくカエデは見た目は美少女だが喋ったらアホの子だからな〜」
「やったー!
お兄ちゃんに美少女って言われた!」
カエデには自分の都合の悪い事は聞こえないようだ。
ホントいい性格してると逆に感心してしまいそうになる。
「ん〜。
私は元々モデルの仕事やってたから視線とかには慣れてるんだよね。
ナンパが来ても快人くんが追い払ってくれるだろうし今は特に困ってないかなぁ〜」
「おー、さすが本物の美少女は言うことが違いますなぁー」
「ま、昼からはナンパが来たらタクを犠牲にしてでも俺とジンが守るからみんな安心していいよ」
「うん、タクはどうなるかわからないけどね」
「おい!
お前ら俺に対してひどすぎるだろ!」
「タクが犠牲になってみんなが救われるなら仕方ない犠牲だよ」
「賛成!」
「お前らには友達を大切にする心はないのか!」
「あははっ。
ごめんごめん。
よし!
昼からはみんなでめいいっぱい遊ぶか!」
「「「「「おー!」」」」」
そうして俺達は海の家から出て海の方に歩いて行く。
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