第105話【アンダースタンド?】
「おはようごさいま〜す」
耳元で息を吹きかけるような小声で起こされる。
「んん〜」
俺は、耳がくすぐったくなったので耳を塞いで軽く擦る。
「あ〜おはよう」
「おはよう!」
目を開けるといつものように沙耶が制服にエプロンというこいう誘ってんのか?と思わせる服装で立っている。
「お前は普通に起こすということが出来ないのか?」
「出来ない!」
腰に手を当て立派に育た胸を張りながら力一杯宣言する。
こいつ馬鹿だ。
まあ、知ってたけど。
「じゃあ、着替えて降りるから下で待っててくれ」
「はーい」
そう言って沙耶は軽く俺の唇にキスをしてから鼻歌を歌いながら下に降りていった。
今日は沙耶が彼女になって五日目の金曜日だ。
別に沙耶と付き合ったからといってこれといって今までと何も変わらない。
変わったことといえば今みたいに、たまにキスをするようになったぐらいだ。
朝早くに沙耶がウチに来て俺を起こし、沙耶とカエデが作った朝ごはんを食べ、沙耶と一緒に学校に行き、学校が終わったら沙耶とウチに帰宅してゆっくりしてから俺か母さんが家まで送る。
今までも付き合ってるような感じの生活だったのでいざ付き合ったからと言って何も変えるものがないのである。
ちょっとした変化でも欲しいなぁーと思ったりもするが、こんな話しを家族や沙耶に少しでも言おうものなら大惨事になるのは目に見えているので絶対に言えない。
そんなことを考えながら朝食をとり支度を終え学校に向かう。
「おはよう」
沙耶と並んで歩いていると後ろから挨拶をしながらジンが近づいてきた。
「「おはよう」」
「なあ快人。
今日のパーティーのことなんだが」
「は?
パーティー?
なにそれ?」
俺は首を傾げ聞き返す。
「え?
まだ本人に言ってなかったのか?」
「そうみたいだね。
てっきり、もうお義母さんが言ってるものとばかり思ってたよ」
「ん?
沙耶は何か知ってるのか?」
「んーとねぇー。
簡単に言えば、私と快人くんが付き合うことになったからそのお祝いを今日の夕方から快人くんの家でするんだよ。
ジンくんや美波の両親も呼んで」
「は?」
唐突のことで頭が混乱してしまう。
え?
いつ決まったの?
俺何も聞いてないんだけど?
「だーかーらー!
私と快人くんが付き合うことになったお祝いをするの!
アンダースタンド?」
「はぁ」
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