第100話【公園】

「なぁ、沙耶。

今日は結局どこに行くんだ?」


「内緒だよ。

着いてからのお楽しみ」


20時過ぎ俺達は、母さんの運転で何処かに向かっていた。


「すみません。

こんな夜に運転をお願いしてしまって」


沙耶が運転している母さんに謝罪をする。


「いいのよ。

大事な息子とこれから娘になる子のためなんだから、運転ぐらいなんてことないわよ。

これからもどんどん頼ってくれていいのよ」


「はい、これからも何かあればよろしくお願いします」


だんだん山の方に入って行ってるのがわかる。

あれ?だんだん怖くなってきたぞ?

俺殺されて埋められたりしないよな?


「なんで顔が青くなってきてるの?

絶対変なこと考えてるでしょ!」


「ごめんごめん。

ちょっとした冗談だよ」


「ほんとにもー」


沙耶が少し膨れてしまった。


「人が運転してるのに後ろでイチャイチャしないでくれます?」


「あははっ。

ごめんなさい」


「はぁ、あんた達がイチャイチャしてるの見てると私も旦那に会いたなるわね。

次いつ帰ってくるのかしら。

私も旦那とイチャイチャしたいわー」


母さんは遠い目をしながら言う。


「父さんのことを思い出すのはいいが事故らないでね」


「誰に言ってんのよ。

私は、ゴールド免許よ!

無事故無違反よ!」


母さんが何故かムキになって言ってくる。


「あー、はいはい。

凄い凄い」


「旦那さんって今、海外転勤をされてるんですよね。

前はいつ帰ってこられたんですか?」


「4月に3日だけ帰ってきたわね。

本当はもっと居れるはずだったんだけど、向こうで部下が何か失敗したらしくてその尻拭いに行かなければ行けなくなったんだって」


「それは、残念でしたね。

次帰ってくる時は是非ご挨拶させて頂きたいです」


「そう言えば、前に父さんと電話した時、次日本に戻ってきた時は沙耶に会わせろって言ってたぞ」


俺は、ふと前に電話した時のことを思い出し口を挟んだ。


「え!

そうなの?」


「あんた達、そろそろ着くわよ」


「「はーい」」


「はい、到着」


「ありがとうございます」


「ありがとう」


「はいよ」


着いたのは自然豊かな公園みたいなところだった。


「沙耶、ここって公園か?」


「うん、公園だよ。

遊具とかもあるけど、草原が広がってるのが魅力なところだよ」


「へぇー。

とりあえずその辺のベンチに座るか?」


「ちょっと着いてきて」


「お、おう」


そう言って沙耶が俺の前を歩き出す。

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