第85話【何様なんだ?】

「あなたは?」


「私は松本沙耶さんのマネージャーをしている田中拓人と申します」


「あ、どうも。

佐藤快人です」


「はい、存じていますよ。

それで、少しお話しよろしいですか?」


マネージャーの田中さんはそう言って撮影スタジオの外を指さす。


「わかりました」


ここで話してはスタッフの迷惑になると思い田中さんの指示に従って撮影スタジオの外に出る。


「えーと、それでお話とはなんでしょう?」


「単刀直入に言います。

沙耶さんから離れてください」


「は?」


「沙耶さんはとても才能のある人です。

見た目はもちろんのことさっきあなたが言ったように様々なポーズをしっかりとでき、表情も豊かでとても素晴らしい逸材です。

沙耶さんは将来、日本で有数のモデルになれるほどの人です。いえ、ならなければならない人です」


何か語りだしたぞこいつ。

今まで聞いて俺が思ってことは、こいつ何言ってんだ?ってことだけだ。


「にもかかわらず、沙耶さんの輝かしい未来はあなたのせいで失われようとしています。

あなたといることでスキャンダルになるかもしれないし、沙耶さんはモデルの仕事を辞めるかもとも言い始めています。

こんな恐ろしいことが起こっていいのでしょうか?

いえ、あってはならないのです」


マジなんなのこいつ。

身振り手振りを使ったりだんだん声が大きくなってきたり面倒臭いな。

なんか喋り方が変な宗教の勧誘みたいになってきてるし。


「なので沙耶さんに近づかないでください。

それがあなたのためであり沙耶さんのためになります」


さて、散々いいたことは言えただろう。

次はこっちが言いたいことを言おうか。


「まず、あんた何様なんだ?」


「なに?」


田中は、眉に皺を寄せ明らかに怒っている表情をする。

もう、こいつには、さんを付ける気も亡くなったわ。


「沙耶に俺から近づいているわけではないし、沙耶本人に俺とは友達付き合いを辞めるから近づいてくるなと言われるのは分かるが、何故お前に人の友達付き合いをとやかく言われなくちゃいけないんだ?」


だんだんエンジンがかかってきたな。


「それに、沙耶がこの先モデルを続けるか続けないなは沙耶自信が決めることであってお前が決めることじゃいだろ?

沙耶はお前の物じゃないんだぞ?

素人の俺にはあまりよくわからないが、もし本当に沙耶に日本有数のモデルになれる素質があるとしよう。

だからどうした?

例えそうだったとしてもなるのは沙耶であってお前じゃない。

他人のお前には関係ないことだろ?」

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