第79話【琴音ちゃん】

「快人くん、帰りましょう」


次の日の放課後いつものようにホームルームが終わってすぐ沙耶が俺の机に来る。


「ああ、帰るか」


「あの、快人くん」


「どうした?」


「今日も快人くんの家で勉強教えてくれませんか?」


「あ、ごめん。

今日はカエデとカエデの友達の勉強見ることになってるんだ」


「いつものやつか」


俺達の会話にジンが入ってくる。


「いつものやつですか?」


「快人は毎回テスト前一週間の中の二日はカエデちゃんとカエデちゃんの友達の琴音ちゃんに勉強教えることになってるんだって」


「そうなんですね」


「だから、別に沙耶が来ても大丈夫だとは思うけど、優先順位はその二人になるから沙耶に勉強教えるのは難しいと思う」


「そうです!

私も快人くんと一緒にカエデちゃん達に勉強教えます!」


「いやいや、沙耶にそんな余裕はないだろ?

自分の勉強しなさい」


「そうですよね。

わかりました、大人しく家で一人勉強します」


「いや、一人で勉強しろとは言ってないだろ。

木下さんでも誘って一緒にしたらどうだ?」


「ちょっと待った。

松本さんちょっと」


「はい、何ですか?」


ジンが沙耶を呼び、沙耶とジンが教室の端まで行く。


◇◆◇◆◇


沙耶とジンの会話


「今日の勉強会、参加した方がいいかもしれないぞ」


「えっと、何故ですか?」


「さっき言っていた、カエデちゃんの友達の琴音ちゃんだかな、快人のこと好きな可能性があるぞ」


「え!?」


「今はどうかわからないが、俺が最後に会った一ヶ月ぐらい前までは少なくとも憧れのお兄ちゃんって感じだったからな、それが恋心に変わっていないとは言いきれないだろ」


「そうですね。

教えてくださりありがとうございます。

快人くんに話して今日の勉強会参加させてもらいます」


「おう、頑張れよ。

あ、でも琴音ちゃんと喧嘩したりはするなよ?

快人もカエデちゃんも悲しむと思うし」


「はい、わかりました」


◇◆◇◆◇◆


沙耶とジンが教室の端まで行き何か話している。


何を話しているんだろう?

沙耶がさっきから俺の方を見ているので俺の事なのは確かだろう。

でも沙耶があんなに大きなリアクション取るほどの話しなんてないと思うんだが?


「快人くん」


「あ、話し終わった?」


「はい、お待たせしました。

それでお願いなのですが、今日の勉強会、私も参加させてください」


「いいけど、今日はあまり教えてあげられないぞ?」


「はい、勉強はちゃんと自分でやるのでお願いします」


「まあ、いいけど。

じゃあ、カエデに連絡入れとくわ」


「はい、ありがとうございます」


俺はメールで今日の勉強会に沙耶も参加することをカエデに送った。

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