第78話【沙耶の親友】
〈もしもし、快人くん。
今、大丈夫?〉
〈ああ、大丈夫だぞ?
どうかしたか?〉
みんなが帰ったあと夕食やお風呂などを済ませ寝る前に勉強をしていた時、沙耶から電話がかかってきた。
〈今何してたの?〉
〈普通に勉強してたよ〉
〈勉強会もしたのにまだ勉強してるの!〉
〈いや、そんなに驚くことかよ。
それより、何かあったのか?〉
〈全然たいしたことないんだけど、今日は楽しかったなって〉
〈あらたまってどうしたんだ?
別に沙耶だって普通に友達と遊んだり勉強会をしたりもするだろ?〉
〈まあ、しないことはないんだけど、猫かぶった状態だから今日みたいにはしゃいだり出来ないんだよね〉
あ、そう言えばそうだったな。
学校の人達で沙耶の素を知ってるのは今日、勉強会をしたメンバーだけなんだよな。
〈だから、早くみんなに猫かぶってたってカミングアウトしろって言ってるだろ〉
〈だって〜〉
〈だってもクソもないぞ〉
〈じゃあ、快人くんが返事くれる次の日にカミングアウトする〉
〈何でまたそのタイミングなんだ?〉
〈だって、もし快人くんと付き合うことになったら、学校でもイチャイチャしたいじゃん。
今の猫かぶり状態だとちょっと難しいと思うし〉
〈ああ、なるほどね。
それにしても木下さんと本当に仲いいんだね。
今日のコントも楽しかったよ〉
〈美波は本当に優しい子だよね。
私は美波が嫌がってるのわかってて無理やり私に付き合わせたんだよ〉
〈そう言ってたな〉
〈快人くんの場合は違うけど美波を私と一緒にイメチェンさせる時はちゃんと計画をねって外堀を埋めていったんだよ〉
〈お前マジか〉
〈うん、だってあのまま私だけイメチェンしちゃったら美波が私から離れていってしまう気がして、美波も一緒にイメチェンしたらこれからも親友でいてくれるかなって思って〉
〈それで、絶交の危機までにいたったのか〉
〈あははっ、それは私も予想外だったよ。
そんなにイメチェンするの嫌だったとはね〉
〈でもまあ、木下さんの最後の言葉は本当だと思うよ〉
〈あのあの時は嫌だったけど今は感謝してるってやつ?〉
〈それもだけど、「私と沙耶はもし親友コンテストみたいなのがあったら優勝を狙えるぐらいの大親友よ!」ってやつ。
あんなに堂々と宣言できるってのは相当だし、普段からお互いのことを大切に思っていことは第三者の俺でもわかるよ〉
〈うん、ありがとう。
私も美波のことは親友だと思ってるから第三者がそう言って貰えると凄く嬉しい〉
〈明日も学校だからそろそろ寝ようか〉
〈うん、おやすみ〉
〈おやすみ〉
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