第71話【シュシュ】

俺達は喫茶店で一時間ほど休憩した後にウインドーショッピングをすることにした。


「女子ってよくウインドーショッピングするイメージだけど沙耶もするのか?」


「たまにだけどするよ。

基本は美波が誘ってくる形だね。

あ!

これ可愛い」


沙耶が店頭に飾られている服を見ながら言う。


「お、結構いいんじゃないか?」


俺はそう言って何となく値札を見る。


八千円だと!

ただの布だぞ!


「オシャレにはお金がかかるのだよ。

わかるかい?

快人少年」


俺が値札を見て驚いていることを見抜いた沙耶がちょっとウザイ顔でそんなことを言う。


「凄いな。

沙耶の今日の全身の値段とか聞いていい?」


何となく気になったので聞いてるみる。


「本当に聞きたい?」


「ごめんなさい」


「よろしい」


結局怖くて聞けなかった。

でも絶対に今の俺の服より高いよね?

もう本当に怖くなってきたよ。


「念の為に言っておくけど、いつも高い服着てるわけじゃないよ。

普段はユニ〇ロとかも普通に着るし。

こんな高い服着るのは滅多にないよ」


「へぇー、沙耶もユ〇クロとか着るんだな」


「当たり前だよ。

快人くんは私をなんだと思ってるの?

あ!

これも可愛い」


沙耶は次はシュシュを手に取り見る。


え!?


ここが高級ブランドのところだからか約二千円ぐらいした。


「可愛いけど、高いね」


そう言ってシュシュを元の場所に戻す。


「買わないのか?」


「うん。

欲しいけど、私のお財布事情的にシュシュに二千円はかけれないかな。

次行こっか」


沙耶は名残惜しそうな顔をしながらそう言った。


ここで俺が買ってあげるよって言えたらカッコイイんだろうけどそれを言えるだけのイケメン値は俺にはなかった。

それに沙耶のことだから全力で遠慮しそうだしね。

言い訳じゃないよ!


「ちょっとお手洗い行ってくる」


二時間ほどウインドーショッピングを楽しんだあたりで沙耶が言う。


「じゃあ、俺も行こうかな。

先に出てきたらこの辺で待ってて」


「はーい」


そうして、沙耶がトイレに入ったのを確認してから俺はさっきのシュシュが売っていた店に急いで向かう。


沙耶は口には出さないがさっきからずっとシュシュのことを気にしてる感じだったのでちょっとベタなことをしてみることにした。

もう買ったあとだと沙耶も流石に受け取ってくれるだろう。


俺は急いでシュシュを購入して待ち合わせの場所に戻る。


「ねぇねぇ、君可愛いね」


「俺達はと遊ぼうよ」


こいつはまた絡まれてんのかよ。

一日に二度もテンプレを見れるなんて凄いな。


「おい。

こいつは俺の連れださっさと失せろ」


テンプレ男が沙耶の肩を触ろうと伸ばした手を掴み力を入れながら言い放つ。


沙耶に触れられそうになってちょっとキレてしまった。


男達は、テンプレの捨て台詞を言って去っていく。


「お前、目を離すとすぐ絡まれるな」


「はははっ、面目ない。

それにしても快人くん遅いよ。

何してたの」


「あ、そう言えば。

はい」


俺は手に持っていた袋を沙耶に渡す。


「何これ?」


「さっきのシュシュ」


「え!?

あの二千円もするやつ!?

こんなの受け取れないよ」


「いや、もう買っちゃったし大人しく受け取っとけって」


「でも、んー」


沙耶が少し悩む。


「うん、わかった。

大人しく受け取るね。

ありがとう」


沙耶が満面の笑みでお礼を言う。


俺は少し頑張って良かったと心の中で思う。

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