第69話【映画】

「沙耶、今回みたいに声かけられることって結構あるのか?」


「ん~?

変装してないい時はまあまあ声かけられるかな?」


「へー結構人気なんだな」


「そうなんだよ~、沙耶ちゃんは人気者なんだよ~。

そんな子と歩けて嬉しい?」


「ああ、結構嬉しいぞ。

それと同じぐらい男どもの嫉妬の目線が痛いが」


「はははっ。

それは我慢してください」


そんなこんなで映画館に着いた。


「何か見たいものあるか?」


「んー」


沙耶は唸りながら公開中の映画一覧を見る。


やっぱり女の子だから恋愛ものとか見たいのかな?

でも、今やってる恋愛もの映画は前に奈緒とかと来た時に見たんだよなー。


「よし!

きめた!」


「何にするんだ?」


「ト〇レの花〇さん!」


「いや、なんでだよ!」


なんでお前はいつもいつも俺の斜め上を行くんだよ!

何でデートでホラー映画なんだよ!


「えー、いいじゃないホラー映画。

もしかして快人くん怖いの苦手な人?」


「怖いのが苦手とかでは無いんだけど、デートだから恋愛ものを選ぶとばかり思ってたからな」


いかんいかん、これもさっきの昼飯の時と同じ偏見だな。

気をつけよう。


「それもそうだね。

じゃあ、恋愛もの見る?」


「いや、沙耶が見たいならト〇レの花〇さんにしよう」


「やったー!

さ、チケット買いに行こ!」


チケットを買い指定された席に着く。

ちなみにちゃんとポップコーンと飲み物も買ったよ。


「きゃー、怖いー」


「大丈夫、怖いなら手を握ってやるよ」


と、二、三組の男女がイチャイチャしていた。


へぇー、怖いからってのを理由にイチャイチャ出来るからデートに向いてるって言ったら向いてるのかな?

俺はそう思いながら隣に座っている沙耶を見る。


「どんな感じに脅かしてくるんだろうね!

楽しみだね!」


もうワクワクドキドキって感じだなこいつは。


別に、女の子らしい反応を求めてる訳では無いがもうちょっとどうにかならんのかね。


「あ、快人くん」


「なんだ?」


「手は繋いで見ようね。

多分大丈夫だとは思うけど怖くて抱きついちゃうかもだけどごめんね」


沙耶はちょっと弱々しくお願いしてくる。


あ~なるほどね。

怖いのが平気で好きってやつじゃなくて怖いけど好きってやつか。

怖くて布団には被るけどついつい最後まで見るやつね。


「ああ、大丈夫だぞ。

怖くなったら遠慮するなよ」


「ありがとう」


ブーという音と共に画面が切り替わり映画が始まる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る