第68話【ファン】

俺達はショッピングモールまで行く道にあった適当な店に入り、昼食を取り俺がお金を払い店を出た。


「何円だった?」


沙耶が財布を出しながらそう言う。


あれ?

今のって俺が奢るって流れじゃないの?


「いや、いいよ。

初めて二人で出かけるんだしこのぐらいはだすよ」


「何言ってるの!」


沙耶が怒りだす。


「え?」


え?

これは勝手なイメージだけど女子って奢ってもらってなんぼみないな感じじゃないの?


「お金の切れ目は縁の切れ目だよ!

世の中には男をお財布としか思ってない女とかもいるけど、私は快人くんが好きで一緒にいるんだからお金だけの関係にならないようにこういうところもしっかりとしないとダメなんだよ!」


「お、おう」


沙耶の勢いに押されてしまう。

そして、自分が沙耶に愛されていることを改めて自覚した。


「じゃあ、千円だ」


沙耶の言っていることは最もなので大人しく貰うことにする。


「はい、千円。

誕生日なんかはいいと思うけどそれ以外の時はこれからもちゃんと割り勘だからね」


「わかったよ。

じゃあ行こうか」



「何する?

映画でも見る?」


「そうするか」


ショッピングモールにつき、映画を見るために映画館に移動する。


ここまで来る途中もだったけどショッピングモールになるとそれ以上にに視線が飛んでくるな。


沙耶見たいな美少女が歩いてたら目で追ってしまうのは仕方ないか。

もしかしたら沙耶がモデルやってるの知ってる人もいるのかな?


「あの!?」


そんなことを考えていると沙耶が知らない女の子二人に声をかけられた。


「はい、私ですか?」


「はい!

沙耶さんですよね!?」


「はい、そうですが?」


「あの!

私達、沙耶さんのファンなんです!

写真撮ってもらってもいいですか!?」


やっぱりファンとかいるんだな。


「あの~」


沙耶が俺の方を見る。


あ~俺に気を使ってるのね。


「いいんじゃないか?

せっかくのファンなんだ大切にした方がいいだろう」


「ありがとうございます。

では、お願いします」


「「ありがとうございます」」


「あの?

あの方は沙耶さんの彼氏ですか?」


写真を撮ったあと一人が沙耶に質問する。


「いえ、まだ違いますよ」


「えーと、まだとは?」


「告白の返事待ちです」


「え!

返事待ちって、沙耶さんがですか!?」


「そうなんです。

二回も困ってるところを助けて貰って好きになりました」


「ほへー。

あなた意外に凄いんですね」


この子俺の事をどういう感じで見てたんだよ。


「あ、別に隠してるわけじゃないんですが、あまり広めないようにお願いします」


「わかりました。

内緒にしときます。

それでは私達は行きますね。

ありがとうございました」


「ありがとうございました」


そう言って二人は去って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る