第63話【どーんと任せなさい!】

家に着くと既にカエデが帰っており、そのまま俺達から食材を受け取り調理に入る。

なので俺達はリビングでテレビを見ながらゴロゴロしている。


沙耶の名誉のために言っておくが、一応沙耶も夕食の支度を手伝おうとしたが、カエデがどうしても手伝わしてくれなかったのである。


「ただいまー」


「お邪魔します」


「お、母さんと美陽さんが帰ってきまみたいだな」


「そうみたいだね」


「お母さん達〜。

ご飯もうできるけどすぐご飯でも大丈夫?」


キッチンにいるカエデが母さん達に聞く。


「すぐでもいいわよ。

ねえ、まっちゃん」


「はい」


「じゃあ、お兄ちゃん運んで」


「へーい」


それからみんな準備を終えダイニングテーブルに座り食べ始める。


「そういえば、明後日デート行くんでしょ?」


「そうだよ」


「え!

快人、私そんなの聞いてないわよ!」


「何でわざわざ母さんに報告しないといけないんだよ」


「そりゃー。

えーと。

ねえ?」


「いや、ねえ?とか言われても知らんし」


「あ!

そうそう!

あんたちゃんと明日のバイト前か、明後日の朝イチに散髪行ってきなさい!

そんなモサモサ頭で沙耶ちゃんとデートなんか出来ないでしょ!」


「えー別にいいだろ?

なぁ、沙耶?」


「私は別に今のままでも十分カッコイイと思いますよ」


「あら、いい子。

じゃなくて!

それでも今よりもカッコよくなるならそれに越したことはないわよね?」


「まあ、そうですね。

それに私とのデートのためにオシャレしてくれるのは嬉しいですし」


少し照れた感じで沙耶が言ってくる。


「沙耶がそう言うなら行くか」


「行くのは決定事項なんだけどあんた一人で行かすのは少し心配ね。

あんたダサいし」


今のはグサッ!ときたよ!

その通りだから反論出来ないけど!


「明後日の朝イチなら私ついて行けるよ」


「じゃあ、カエデ、快人のことお願いね」


「お任せ下さいな!」


この歳で美容室に付き添いありで行くのはだいぶ恥ずいな。

今回は沙耶のこともあるし我慢するけどさ。


「ほら、お兄ちゃん。

お願いしますは?」


くぅっ!

屈辱だ!


「お、お願いします」


「うむ、よろしい」


ウザイ!

張り倒したいが今回は我慢しなければ!


「時間があったらそのまま服も選んでもらいなさい。

カエデはこう見えてオシャレだからね」


「どーんと任せなさい!」


「時間があったらお願いするよ」


「日曜日会うの楽しみにしとくね」


「少なくとも今の倍はカッコよくしてみせるから期待してていいよ沙耶ちゃん!」


カエデが自信満々に胸をはる。

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