第54話【沙耶視点】

沙耶視点

土曜日、佐藤家が帰った後


「ああ〜、お母さんが変なこと言うから心配になってきたじゃん」


沙耶はソファーに座りながら母に抗議する。


「変なことってなによ」


「奈緒ちゃんが快人くんのことが好きかもしれないってやつ」


「本当のことじゃない。

あんた、本気で男を狙いにいくなら他に誰がその男を狙っているかぐらい把握出来ないとこれから困るわよ」


「ぐぬぬ」


母に正論を言われ文句を言えなくなってしまう。


「はぁ〜。

どうしよう、どうしよう」


沙耶はソファーに座りながら足をパタパタさせながら言う。


「あんた煩いわよ。

そんなに心配なら明日ついて行けばいいじゃない」


母は腰に手をあてて鬱陶しそうに言う。


「明日、モデルのバイトなんだよ〜」


私はソファーに置いてある枕をバシバシと叩きながら言う。


「どうしても休めないの?」


「うん。

多分無理、それに私てきには重要なことなんだけど、快人くんにこんなことで休んでって怒られるだろうし」


「まー、それはそうよね。

月曜日に聞きなさいな」


「んー。

明日の夜電話して聞こうかな?」


「それは辞めといた方がいいかもよ?」


「なんで?」


「そんないちいち友達と遊びに行ったぐらいで、付き合ってもない子から「どうだった!?変な女に捕まったりしてない!?」みたいな電話かかってきたら何なんだこいつ?ってなるわよ」


「でも、相手は快人くんを好きかもしれない奈緒ちゃんだよ!

それに快人くんも私が気にしてること知ってるし」


「それでもよ。

あんまり重い女って印象付けられたら今後きついわよ。

マジで」


経験談なのか母の言葉には重みを感じた。


「マジか〜」


ソファーに寝転がる。


「もう!

鬱陶しいわね!

お風呂でも入って気持ちを切り替えて来なさい!」


「は〜い」


私は、母の言うことに従いタオルや着替えを準備してお風呂ばに行く。

そして、体などを綺麗に洗ってから髪を頭の上でまとめ湯槽に入る。


「快人くん」


私はそう呟いて目を瞑る。




「あんたいつまで入っるの」


「え!?

あ!ごめん!

すぐ出る!」


やばい、いつの間にか寝てたみたいだ。

昨日も今日も楽しくてはしゃぎすぎて少し疲れちゃったのかな?

今日はもう寝よう。


お風呂を上がり母に謝って髪を乾かし、歯を磨いて自室に戻る。

そして明日の準備を終え、ベットに寝転がる。


「明日になったらこの不安も少しはましになってるかな?」


私はそんな期待をしながら目を閉じ眠る。

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