第53話【ギロッ】

学校に着いたのは八時十分でホームルームが始まってまで二十五分程ある。


「おはようございます」


「おはよう」


俺達が教室に入り挨拶をするともう既に学校に来ていた木下さんが挨拶をしながら寄ってくる。


「おはよう、沙耶。

佐藤くん」


「今日もラブラブだねー」


木下さんがニヤニヤしながら言う。


「当たり前じゃないですか」


沙耶は素晴らしい完璧な笑顔で言う。


「かぁー!

幸せそうで何よりですな。

羨ましいぞ佐藤くん」


なんかこいつキャラ変わってない?

本当はこいうキャラなの?

仲良くなったらいきなりキャラ変えるやつ?


「おはよう、快人、沙耶ちゃん」


俺がそんなことを考えていると奈緒が挨拶をしながら近づいてきた。


ギロッという効果音が似合う凄い目で沙耶が奈緒を見る。


「ひぃぃ!」


あまりの怖さに木下さんが後ずさる。


やっぱり自分に向けられているわけじゃないとわかっていても怖いよなあの目は。


「沙耶、笑顔、笑顔!」


俺は慌てて沙耶に小声で言う。


「はぁ!

すみません、奈緒さん。

おはようございます」


沙耶は慌てて笑顔を作り奈緒に挨拶をする。


「あははっ。

沙耶ちゃん怖いよ。

じゃあ、お話ししに行こうか」


「はい、行きましょうか」


沙耶は自分の机の上に鞄を置いて奈緒と何処かに行ってしまった。


「ねえ、佐藤くん。

あの二人に何があったの?」


さっきから一言も発さずにことの行方を見ていた木下さんが聞いてくる。


「とりあえず、俺の席に行こうか鞄も置きたいし」


「ええ、わかったわ」


そうして木下さんと俺の席に行く。


「おい。

快人、沙耶ちゃんめっちゃ怖かったがやばくないか?」


自分の席につくとタクが話しかけてきた。


「まあ、大丈夫だと思うけど、、、。

大丈夫だよね?」


「いや、知らねーよ!

俺が聞いてんだよ!」


やばい、だんだん不安になってきた。


「昨日、奈緒と話したんだよな?

なんて言ってたんだ?」


ジンも俺の席に来て聞いてくる。


「ちゃんと話したよ。

沙耶に聞きたいこともあるから奈緒が説明するって。

喧嘩なんかしないから大丈夫とも言ってた」


「そうか。

まあ、快人が二人の中に入ってあれこれするより最初から二人で話した方が後々困ったりもしないかもな」


「あの〜。

説明お願いしてもいい?」


木下さんが恐る恐る聞いてくる。


「ああ、そうだったね」


俺は今の沙耶と奈緒の状況を掻い摘んで木下さんに説明していく。

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