第50話【誤魔化されんぞ】

「快人くん、朝だよ。

起きないとキスしちゃうよ〜」


「んんぅ〜ん。

あと五分」


俺は、誰かに起こされてるなぁーと思いながらも寝返りをうつ。


「あら可愛い。

でも、そろそろ起きないと朝ごはん食べる時間無くなるよ?」


「、、、」


俺はそんなこと知るか!

と言わんばかりに無視を決め込む。


「もー本当にキスで起こしちゃうよ!」


何かが俺に近寄ってくる気配がする。


ちょっと待て、今の声誰だカエデではないよな?


俺はその声の主を確認すべく目を開ける。


目を開けると目の前には綺麗な沙耶の顔がドアップであり、沙耶と目が合う。


「え?」


俺と目があった沙耶はどんどん顔が赤くなっていく。


恥ずかしいならやらなきゃいいのに。


「え、えーとおはよう?」


俺がそう言うと、沙耶はゆっくりと近づけていた顔を離し、ベットの横に立って、服やスカートのシワを整える。


「快人くん。

おはよう」


あ、こいつ何事もなかったかのようにしようとしてやがる。


「おい、そんなんで俺は誤魔化されんぞ」


「な、なんの事かな?

私にはわからないよ?」


まあ、今回はこんなもんで勘弁しといてやるか。


「で、なんでお前ここに居るんだ?」


「快人くんを起こしてきてってカエデちゃんに言われて来たんだよ」


「そうか、それはありがとう。

じゃあ、なんで俺の家にいるんだ?」


「ん?

一緒に学校に行くためだよ?」


さも当然のように言いやがるなこいつ。


「この会話、金曜日もしたような気がするな。

もしかしてだけど毎日来るつもり?」


「うん、そのつもりだよ」


「その事についても後で話そうか」


俺は頭を抱えてしまう。


「お兄ちゃーん!

沙耶ちゃーん!

そろそろ降りてきなよ!」


いつまでも降りてこない俺達をカエデが階段したから呼ぶ。


「あ!

はーい!

すぐ降ります!」


こいつ、あ!とかいいやがったぞ!

絶対に何をしに来たか絶対に忘れてただろ!


「じゃあ、俺も着替えて降りるから。

先に降りててくれ」


「二度寝とかしないでちゃんと降りてくるんだよ」


「ここまで意識が覚醒してたら二度寝とか出来ないから。

いいからさっさと降りろって」


俺は手でシッシとジェスチャーをしながら言う。


「は〜い」


沙耶は返事をしてバタバタと小走りで降りていった。


「さて、俺も着替えて降りるか」


そう言って俺はベッドから出て着替えを始める。

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