第51話【お前いつまでついてくるの?】
「おはよう」
「はいはい、おはよう」
母さんはもう仕事に行ったようでリビングにはいなく、何をしてるのかわからないがカエデがあっち行ったりこっち行ったりバタバタしながら挨拶を返してくれる。
「朝食早く食べてね」
「はーい」
俺は椅子に座り朝食を食べる。
正面には沙耶が座っており、朝食を食べている俺をじーと眺めてくる。
「なんだよ?」
「何でもないよ」
何だ?
目やにとかついてるのかな?
俺はそう思い目を擦る。
「いや、顔に何かついてるとかじゃないよ」
沙耶が笑いながら言う。
「じゃあ、何だよ」
「私が快人くんの顔を見つめてたいだけだから気にしないでいいよ」
朝から一個一個突っ込むのもしんどかったのでそのまま朝食を食べ進める。
「ああ、じゃあ、そうする」
「ご馳走様でした」
食べ終わり、食器を流しに置いて顔を洗うべく洗面台に向かう。
その間もずっと沙耶がついてくるが無視を決め込む。
顔を洗い、歯を磨き、寝癖をなおす。
そして二階に上がり今日の授業の教科書を鞄に詰める。
「あ、今日これも授業で使うらしいよ」
沙耶がそう言っていつもは使わないので持っていかない問題集を俺に渡す。
「そうなのか。
ありがとう助かったよ」
成績はどうであれしっかりと先生の話しはちゃんと聞いている沙耶の言葉なので事実なのだろうと思いお礼を言って受け取る。
「どういたしまして〜」
鞄に荷物を詰め終わり、一階に降り、リビングに鞄を置いてお手洗いに向かう。
そして、お手洗いの前に着いたところで横にいる沙耶の方向を向く。
「お前いつまでついてくるの?」
「ずっと!」
アホなことを言う沙耶の頭を軽くチョップする。
「あいた!
何するのよ〜」
痛くもないくせにわざとらしい。
「俺はトイレ行くからお前はリビングで待っとけ」
「えー。
ここで待ってるよ」
少しずつイライラしてきたぞ。
「ふざけるな」
「まじめだよ!」
こういう馬鹿にはお仕置きが必要だな。
「アイアンクロー決めるぞ?」
俺は右手を胸の前まで上げ指をポキポキと鳴らす。
「はい!
私は賢いのでリビングで大人しく待っているであります」
沙耶は俺に敬礼をしてからリビングに向かって歩いていった。
「本当に賢いなら、最初から俺の後を付け回すな」
俺はそう言ってからお手洗いに入った。
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