第35話【お店到着!】

それから15分後、母さんが運転する車は、ある高そうな焼肉屋の駐車場に入り止まった。


「着いたわよ〜」


「母さん、もしかしてこの高そうな焼肉屋?」


「そうよ!

凄いでしょ!」


俺が恐る恐る聞くと母さんがドヤ顔でそう言った。


マジか!

でもここマジで高そうだぞ!

二時間食べ放題、三千円とかいう店とは大違いだ!


「あの〜、佐藤さん?」


「なんだい、松本くん」


手を挙げて発言の許可を取ろうとした美陽さんに母さんが教師が生徒に言うように発言をきょかする。


「私、こんなに高そうな店に来るとは思ってなくてそんなにお金を持ってきてないんですけど、他の店にしません?」


それはそうだ。

いきなり昼食行きましょうと誘われてこんなところ連れてこられても払えないだろう。


この人数だと普通に五万ぐらいは軽くしそうな雰囲気がある。


「何言ってんのよ。

今日は私の奢りよ!

ドーンと任せなさい!」


母さんが胸を張りながらそう言う。


「いや、悪いですよ!」


まあ、この状況で、「じゃあ、お願いします。ゴチです」って言えるやつはそうはいないだろう。


「大丈夫よ。

誘ったのは私だし、貴方は私の部下、そしてもしかしたら私達家族と松本家は今後、親戚になるかもしれないんだからこれぐらい何ともないわよ」


この人は何でことある事に俺にプレッシャーをかけてるくんだ。


沙耶は沙耶で「親戚ってことは、私と快人くんが結婚するってことだよね?えへへっ。」っとさっき松本家でもしていたのと同じ照れ方をしている。


「それもそうですね。

じゃあこうしましょう。

昼飯は佐藤さんに奢ってもらいます。

でも晩御飯はウチで食べていってください。

私と沙耶で手料理をご馳走します」


少し考えたあと美陽さんがそう提案してくれる。


「え?

うん、そうね。

じゃあ、晩御飯はお願いしようかな。

カエデも快人もいいでしょ?」


「うん、いいよ!

てか松本家の晩御飯楽しみ!」


「うん。

俺も今日は、予定ないし大丈夫」


今日は、だよ。

決して今日も、ってことはないからな!

ここ重要だから!


「じゃあ、決まりね。

沙耶も大丈夫よね?」


「うん。

大丈夫だよ!

それに快人くんに手料理を振る舞うと考えると今から気合いが入っちゃうね!」


沙耶は胸元で握りこぶしを作り、いかにもやる気十分って感じだ。

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