第10話【キレてもた】
「おはよー」
俺は何事もないかのように松本さんと同じように挨拶をして教室に入って席に着いた。
するとすぐに俺の席に男子共が集まってきた。
「おい、カイト!
昨日、教えてくれるって言ったよな?
教えてくれ!」
そうタツが代表して言ってきた。
「わかったから少し離れろ!
暑いしキモイ!」
「で、で?」
「えっとめちゃくちゃ簡単に言うと俺の事が好きだけど、今告白したら振られるだろうから、これからどんどんアピールするねって宣言された」
「おい!マジかよ!」
「嘘だ!嘘だと言ってくれ!」
「俺の生きていく希望がー!」
などと男共が嘆いている。
「マジなのか?」
タツが聞いてくる。
「まじ。
何か今日の弁当も作ってくれているらしい」
「死ね!」
「くたばれ!」
「爆発しろ!」
「呪ってやる!」
「おはよー。
やっぱりこうなったか」
まだ男共が喚いてるが無視を決め込み、遅れてきたジンとタツと話していると。
「ねえ、佐藤、ホームルーム終わったら来なさい」
と松本さんと仲良くしているカースト上位の木下美波が言って、去っていった。
「行くのか?」
「行った方がいいかな?」
「まあ、行かないと次はもっとキレた感じで来るだろうな」
「面倒いけど行くかぁー」
「おう、頑張れ!」
キーンコーンカーンコーン
そして、ホームルームが終わった。
そして、俺の最悪の時間が始まる。
「来なさい」
「はいはい」
そうして俺は木下さんに人目に付きにくい屋上に入る扉の前まで連れていかれた。
「で、なに?」
早く解放されたかったので話を切り出した。
「何とぼけているの?」
「は?」
何言ってんだこいつしかもなんで上から目線なんだだんだんイライラしてきたぞ?
「沙耶に何をしたの?
正直に言いなさい」
どうやら何か勘違いしてるらしい。
「いや何もしてないけど」
「嘘つかないで!
じゃなきゃ沙耶があんたなんかと帰ったりするわけないじゃない!」
ねえ?キレてもいいかな?
「知るかよ。
本人に聞いたのか?」
「そ、そんなの聞かなくてもわかるわよ!
あなたがなにかしたことぐらい!」
いや、こいつ頭大丈夫か?
いくら俺が優しいからと言っても限度があるぞ?
「じゃあ一回、松本さんに確認とって、それで俺が何かやったって言ってたらまた来て」
そう言って木下さんの横を通り階段を降りようとした時、木下さんに腕を掴まれた。
「何勝手に終わろうとしてるのよ!
まだ話は終わってないわよ!
どーせ貴方が何か沙耶の弱みを握ってるんでしょ!
だから沙耶に聞いても意味無いじゃない!」
あーもう俺限界!
はい、三、二、ー、でキレます。
皆さん一緒に~、三、二、ー。
「いい加減にしろよ?」
そうして俺がキレた。
「何よ?」
「お前がいいのは顔とスタイルだけで頭は弱すぎるみたいだな?」
「何言ってんのよ!」
「この馬鹿が、そのゴミみたいな耳の穴をかっぽじって良く聞いとけ、昨日、話があるからって誘ってきたのは松本さんだ!
俺が何か弱みを握ってるなら俺から行って弱みをチラつかせながら連れていくのが普通だろ!
それに、何か弱みを握られてるなら友達に相談してるはずだろ!
お前の考えが正しかったら相談されていないお前は友達じゃないってことじゃないのか?」
ちょっと嫌味っぽく言ってみる。
「何言ってんのよ!?
弱みを握られてるなんて誰にも言えないに決まってるじゃない」
「そんなやつそもそも友達じゃねえよ!
俺は友達って言い切っている三人にだったらたとえ何歳までおねしょしてたかまで言えるぞ!」
「そんなのあんたの自由じゃない!
あなたと一緒にしないで」
「それにお前、松本さんに聞いてすらいないで俺に突っかかってきているみたいじゃないか!
せめて聞けよ友達なんだろ!?
それともお前松本さんのことも信用してないのか?」
「そんなことない!
信用してるに決まってるじゃない!」
「そして、噂の状態でここまでするなよ!
今お前がしているのはちゃんとした証拠が揃ってからすることで、証拠が揃ってないのにこんなことするのは言いがかりが酷いだろ!
悪質極まりない行為だぞ!」
「何人聞きの悪いこと言ってんのよ!」
「人聞きの悪いこと言ってんのはどっちだよ!」
「はいそこまでー!」
そこに身長の小さめの可愛らしい女の子が割って入った。
こいつは俺の三人いる友達の最後の一人、菅原奈緒だ。
こいつもみんなに好かれやすい元気な性格でカースト上位の一角だ。
「カイ、いくらイライラしたからって言いすぎだよ。
そして、美波、今回は貴方が悪いわよ。
何の証拠もないのにここまでしちゃダメたよ。
それにそろそろ一限目が始まるから教室に戻ろ」
「おう」
「、、、」
俺は奈緒に返事をして、木下さんは無言で教室に戻った。
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