第12話苦手な設計図


「やっぱりこれかな」


とセリアで手に取ったのは小さなブロック、マイクロブロックシリーズのアフリカオオコノハズクだった。


「このデザイン、誰がしたんだろう、面白い! 」


 セリアのおもちゃコーナーには人がいなかったので、私は感動を口にした。大げさではない、本当に素晴らしいと思ったのだ。

普通ブロックは一匹だけを作るものがほとんどだが、このオオコノハズクは二羽作る。一羽は普通のフクロウで、もう一羽はとても細くなったフクロウ。

コノハズクの仲間は、危険を感じると体を極端に細くする習性があって、それも一緒に作ることができるのだ。

難易度はかんたんになっているが、一応覚悟はしておいた。この手のブロックの説明書は、私にとっては鬼門なのだ。会計を早めに済ませようとレジに向かった時に箱の上書きに気が付いた。


「え! ブロック外しの専用リムーバーまでついているの? 」


至れり尽くせりだった。満足して帰途に就いたけれど、何だかさすがに料理をまじめにする気持ちが起こらず、簡単にスパゲッティーにレトルトのミートソースをかけた。これは百円ではない、スパゲティーはそれより安かったぐらいだ。


「うーん」


始めて見たけれど、途中でやっぱり間違っていることに気が付いた。一番簡単なはずなのに一時間以上が過ぎてしまった、もちろん食事をしながらだったからもある、行儀が悪いなとおもいながら。


 でもできたものは本当にかわいかった、細くなったフクロウも本当にかわいい、デザインした人にありがとうございますと言いたいくらいだ。


 この手の先駆けは「ナノブロック」だ。私はこのナノブロックを同僚から誕生日のプレセントとしてもらった。出来た東京タワーもとても美しく、部屋に飾っている。

他のものも欲しいなとは思っていたけれど、色々ありすぎて迷っていた。

そうしてしばらくして私はキャンドウで見つけたのだ。


「え! この手のブロックを百円で・・・・・」


ちょっと最初のクリスマスの飾りを思い出した。


 キャンドウの名前の由来は「感動」から来ているという。だから確かにキャンドウでミニブロックのカワセミを見た時に、正に心を動かされた


「うーん・・・これは・・・もしかしたら・・・」


多分日本全国で同じことを考えている人が何万人いるんだろうと、半分笑いながらカワセミのブロックを買った。すぐに家に帰り、封を開け最初にしたことは、東京タワーのブロックにカワセミのブロックをはめて見ること


「はまった! やっぱりおんなじ大きさなんだ! 」


ナノブロックとミニブロック、セリアのマイクロブロックは同じ大きさだ。だがダイソーのプチブロックは大きさが違う。

でも底の形が違うので、ほぼ同じ大きさの三種類も完全に組み合わせることはできない。


「わあ、カワセミ案外大きい、ええと・・・また間違ったみたい」


私は地図の読めない女、というか設計図の読めない女だ。


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