第6話ユダヤの法則
ユダヤの法則で
「78対22」というのがあると聞いた。
世界はその比率で成り立っているというのだ。地球の陸と海、空気の窒素と酸素の割合。厳密に言えば1程違ったりするが、これが昔からあるとすれば驚異的なものではある。
蟻の世界でもそうだと昆虫番組の中でやっていたのを思い出した。生まれた蟻のうち、正常に働くのは実は20パーセントほどで、後は右往左往して要は「使い物にならない」らしく、その番組では「蟻捨て場」も撮影していた。正常な蟻がそうでない仲間を捨てるのだ、強靭な顎の力で持ち上げて。
三十過ぎると、「もしかしたら人間も」と思ってしまうことがある。
仕事始めの若い頃は色々怒られて、それを聞いて守っているうちに「何とか」私は順応するようになったが
「どうしてこんなことを、この人はするのだろうか」
という人がどこの会社にも職場にもいると気が付いた。しかし人間というのはやはり特殊な生き物で、この点に対する解決策を持っている。
「職場の五人に一人は問題があるが、この人間を辞めさせても、仕事は円滑には進まない」
というのだ。必要悪のように、まるで「全くあの人は・・・」と他の四人でストレスのはけ口の悪口を言っている方が、仕事に良いという結果なのだ。四対一、つまり80対20だ。
この事に気が付いた時には、少々背筋の寒くなる思いがした。
私も実は「自分はこの一人なのかも」という懸念は消えてはいない。だからなのか、ヒツジのお菓子の二回目は職場に持っていくことにした。
「うわ! 可愛いですね」
「お腹減ってたんです、いただきます」
ほおばりながら、みんな仕事を始めた。敵は少ない方が良いが、もちろん
「孤軍奮闘」を否定する気もない。今それを実行中だ、ある方面で。
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