第3話失敗から学ぶもの


「できた! 確かに説明書の通り! どうしてできなかったかなあ」


 出来てしまうとこんなものだ。しかし数日、そろそろ一週間になろうかという失敗の連続で、どうして自分が出来なかったのか、説明書ではどうしても判り辛かったのは何故だったのかが理解できた。

今後のタティングレースの高度な技の習得を、自分がするかできるかどうかは別にして、最初の山場の攻略は出来た。


 説明するとこうなる。しかし以下の説明はダイソーのもので、どの指を使うかは、人によっても違うようなので、参考にだけしていただきたい。

まず、タティングレースを編む時には、基本右手にシャトルを持ち、左手をフレミングの法則の形、あるいは手でキツネの形を作り、シャトルから伸ばした糸をぐるりとかける。そしてキツネの口、つまり親指と中指で一周回した糸をつかんでおく。そして右手のシャトルを左手の糸にぐるりとかけて、それによって生じる輪に通して縫い目を絞っていく、この動作の連続で出来上がっていく。

しかしこれは大変大雑把に書いてあるので、本当にやりたい方は格闘の程お願いいたします。


が、何故私が間違い続けたのか、それは糸の特性をキチンと理解していなかったためにある。つまり、糸というのはテンション(張り)の強い方に引っ張られるという特性があって、左手にかけてある糸の力を緩めて、シャトルの糸を引っ張ると、最初は左手の糸に巻き付いていたものが本当に「クルン」と反対になる、それは糸が裏返された感じで、圧力も感じる。まるで音がするようなこの動作を「結び目を移す」というのだ。これが出来なかったのだ。


「左手の糸を緩め、右手の糸を引っ張る」


すべての原因は「左手の緩め方」だった。まるで子供のように力が入っていたのだろう、糸を強く指にかけ過ぎていたのだ。できるようになった今は糸が本当に「かかっているだけ」で左手にはほとんどテンションはないような状態だ。そして失敗はシャトルを通す場所にもよる。成功と失敗が交互になり始めた時、

「緩めたはずなのに」と思って固まった糸をよくほどいていた。しかしやはり失敗の原因はちゃんとあって、左手の指にかかっている糸のあまりに上の方や、下の方では糸の中心部よりは張りが強くなっているので失敗しやすい。そして本当に現時点では同じ失敗が


「糸を無駄にしないため」に起こっている。


タティングレースはモチーフを一つ作って、最後に糸を引っ張って次のモチーフという具合になる。つまり最終的に糸を引っ張ると、左手にかけていた糸が無くなってしまうのだ、結果一つの花びらの形ができる。これが終わるまで、糸の補充が出来ない。おかしなことに最初の失敗を、左にかける糸が小さくなりすぎて起こしていることだ。

「面白いわ、逆戻りの様で」でも糸が動かない感覚も敏感になって、すぐさまほどくようになった。



一番最初は

「できているじゃない、シャトル側に移さなくても。きれいに縫えているし、結び目も動くし」

と間違えてもいいやとやっていたが、この最後の引き絞りが


「え! きれいに引き絞れない!そうだよね、間違えたら引き絞れないって書いてあるものね」

本当に百円で凄いなと思ったことは、私のヒャッキン生活上、上位に位置する。



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