第4話 「私には・・・」

 とにかく解決した。


 明日香さん、お疲れ。


 家に帰ってお母さんに報告しようと、急いで帰って来たら居ないでやんの。



 仕方ないから私の活躍を詳しく述べる。


 お母さんから話を聞いて、まず思ったのは副社長が怪しいと言う事。


 でも相手は地位があるので迂闊には動けない。


 で、私は思い出した。


 うちの会社の社長と話してた時、たまたま母の会社の話しになって

「ああ、あそこの社長なら俺の親友だ」って言ってたのを。

 だからまずうちの社長に相談しようと思った。


 水曜日


 私は社長に電話して会って欲しいとお願いする。


 夜遅かったけど社長は快く会ってくれた。


 社長は話しを聞くと直ぐに母の会社の社長に連絡してくれ、明後日会ってくれる段取りをしてくれた。


 木曜日


 母の会社に行って、前に母から聞いてた、会社一番の情報通のお局様に会って話しを聞く。


 さすが、情報通。


 副社長の不倫の事を詳しく教えてくれた。


「何でそんなに詳しいんですか?」って聞いたら


「実は私も昔は副社長と付き合ってた」

だって。


「今の愛人は後輩で、今でも相談に乗ってる」

なんだって。


「彩子さんも随分口説かれてたけど、全く相手にしてなかったみたい」

なんだと。


 副社長 女好き 見境なし。


 取り敢えずその愛人さんに連絡してもらって土曜日に会える事になった。


 もう一人愛人さんがいるようだが連絡先は知らないらしい。


 んで、次の日


 金曜日


 母の社長さんと会食。


 社長さん、とっても紳士。


 おじいちゃんみたい。


 実は社長さん、今回の事知ってた。


 って言うか、色々調べてたらしい。


 んで、副社長一味の悪巧みも全て把握済み。


 なーんだ、じゃあ私、こんなに頑張らなくても良かったじゃん。


 なもんで、社長からの秘密指令。


 ふむふむ。


 了解しました。


 愛人さん二人を取締役会に連れてくる事。


 もう一人の愛人さんの連絡先も調べてた。


 さすが社長。


 やる事完璧。


 それからびっくり発言。


 社長さんもお母さんのファンだって。


 お母さんが入社した時から好きだったと照れながら話してくれた。


 だから副社長は許せん、って憤慨してた。


 お母さん、もて過ぎ。


 年齢制限無し。


 で、土日に愛人二人に会って、事情話して了承してもらった。


 そして、月曜日、取締役会に乱入。


 社長さんから

「お母さんに迷惑かけた。明日からまた出社して欲しい。すまなかった」と伝えてくれと言われた。



 そんな感じです。


 ねっ! ほとんど社長さんの手柄。


 えへへ。


 でも、お母さんの無実は確定したからいっか♪




 で、お母さん、まだ帰って来ない。


 どこ行ったんだ。あのモテモテ女。


 連絡も無いし・・・





 11時過ぎに酔っぱらって帰ってきやがった。


「もう、どこ行ってたのよ。こんなに酔っぱらって」


「だって、お母さん、首になるんでしょ。素面じゃいられないじゃない」と言って、また泣き出した。


「何言ってるの。お母さんの無実は証明されたし。明日からまた来てくださいって社長さん言ってたよ」


 お母さんはびっくりして

「えっ、だって・・・」と言ったままテーブルに顔を伏せた。


「大丈夫? 私に任せといてって言ったでしょ。私頑張ったんだよ」



「ねえ、聞いてる? お母さん」



「お母さん?」



「あれ・・・?」







 寝てやがる。


 ったくもう。


 何でこんな女がモテモテなんだろ?


 さっぱりわからん。


 このままじゃ風邪引くので

「お母さん、起きて。ベッドに行こう」って言うと寝言で

「私には健ちゃんしかいません」って


「何だ?」


「え、え、え・・・」


「健ちゃん? だと。まさか・・・ね」

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