第6話

市街地にある高級ラブホテルの一室の中、中世ヨーロッパの雰囲気を見せつけ、天井には煌びやかな美しいシャンデリアが飾れる室内、広い室内の中央にセミダブルの大きなベッドが置かれていた。


ベッドの上には若い2人の男女の姿があった。2人は抱き合い激しく、緩やかに身体を揺さぶっていた。

ベッド下で男性を見上げ支える様にしている若く美しい女性は、長く美しい茶色の髪を振り乱し枕下周辺に液の様に垂らしていた。


女性の上部に乗る様に見下ろしている男性は、女性の下半身の腰に自分の腰を押し当てていた。男性の陰茎が、女性の膣穴に入り、激しくピストンを繰り返す。


男性の陰茎が膣穴を出入りする度に、女性は


「ア...ア...アァン...」

と、喘いでいる。


男性の陰部が女性の膣穴に潜り込み数分間程続いた。


女性の膣穴に入る男性の陰茎は膣が外部からの刺激に反応し、それを押さえ込もうと蠢く行為に、過激に反応し陰茎全体が快感の渦に包まれようとする。


「う...クッ...クッ!」


膣穴から潤滑液が垂れ出し、滑らかな感触に包まれる肉壷の中、男性の男根が次第に絶頂の渦に包まれて、激しく液を噴き出した。


ズピュッと、音を立てるかの様に男性の陰茎は射精し、女性の胎内に欲望の汁を注ぎ込んだ。


「ふぅ...ふぅ...」


射精を終えた男性は、力の抜けた自分の陰茎を抜き出す。男性のモノが無くなると、女性の陰部から、濁流の様に白い液が溢れ出て来る。


「ハア...ハア...中々良かったわよ。ミヤギ...アナタのプレイ...」


女性は横になった状態で、ミヤギと言う男性に向かって言う。


「ユリナの方こそ、良かったよ。膣の中がこんなに引き締まったりして、ここまで楽しませてくれるとはね...、ミマツカンパニーのラブドールの製品の良さを改めて知ったよ」


女性はラブドール用に製造されたアンドロイドだった。他のアンドロイドの様に一般的な頭脳、AI(人工知能)もあるが、基本は男性との性行為が主のアンドロイドである。


「ありがとう。久しぶりに男性相手に興奮したわ。1回のプレイで体内の水分が随分減ったわ。...そう言えば、あたしに何か相談したい事があって、会いに来たのでしょ?」

「ああ...確か君達ミマツカンパニーは、確か軍事用のアンドロイドも製造していたよね?国防軍も使用しているとかって噂を聞いたけど…」


「ええ...特殊部隊のアンドロイドよ。ごつい体しているけど、ちゃんとアソコも機能するやつよ」

「たのもしいね。もしかしたら数体借りるかも知れないけど、大丈夫かな?」

「良いわよ、アナタの為に頼んでおくわ」


「頼りになるね君は...、我が社の製品は、ファミリー向けばかりで、今ひとつパッとしない物ばかりで、つまんないのだよ」

「でも...アナタ達の製品の方が、優れているのでしょう?確か極秘に開発している、製品の発表が近々あるか..?.」


「それは、取り下げになった。思わぬ欠陥が発生したんだ。あれは世間に披露出来る物では無い」 

「そうなの?あたしは見たかったな、その商品...確か開発名称はアリサだっけ?」


その言葉を聞いて、ミヤギは立ち上がり、そして脱いでいた衣服を着込む。


「アリサプロジェクトも当分お預けだ」

「どうしてなの?」

「色々と問題が発生してね」

「あら…それは大変ね」

「これから、会長との打ち合わせに行く。君は、僕の車を1台貸すからそれで帰宅してくれ」


そう言って彼は自分の愛車のカードキーをユリナに渡すと、そのままホテルを出て行く。

ミヤギがラブホテルから出ると、出口付近に会社の高級セダンの車が待っていた。


「遅くなってすまない」


運転手に一言伝えて、彼は車に乗り込む。運転手は何も言わず、そのまま発進をする。ミヤギは、車に乗ると車内用に設置してあるボタンを押す。すると新緑に包まれた自然の風景が車の天井から床まで全面に映し出される。小川の流れる水の音や、野鳥のさえずり等が響いて来る。


「会長の記者会見は、今朝早朝に終わりました。発表の内容については、お手元の電子ペーパー新聞で確認が取れます」


ミヤギは、隣の席に置いてある電子ペーパー新聞を手にして、記事を探しにスクロールさせて記事を見つけると内容を拡大させて記事を見た。


文面には大きな字で「タナカコーポレーション社のトラック落下。物資は全て回収」と、書かれていた。


「真相が隠蔽されている。あまり会社がこう言う事をすると、そのうちしっぺ返しが掛かってくるぞ」

「では...ミヤギさんとしては、我が社の極秘開発の製品に付いて、今回の事故の事も含めて、きちんと公表すべきだったのだと思っているのですか?」


「そうだね...事故が発生したのは、仕方ない事でも...やはり隠蔽はマズイと思う。アリサに搭載されているコンピューターシステムは、数日で過去から現在までの世界中のネットワーク情報を書き換えてしまう程の巨大なシステムだ。あれを放置しておくのは非常に危険だ。しかも未だ何の手掛かりも得られていない状況。今、世間に公表しないと…後々我が社の株にも影響しかねない。何よりも傷が浅いうちにこちらから動けば、騒ぎは小さいのに…」


「そうですか、ですが…真相を報道するとマスコミや評論家達がこぞって我が社を叩きに来ますよ。そうなると我が社のブランド名が落ちる可能性もあります」

「多少叩かれる覚悟も必要だ。それを跳ね除ける覚悟が無いと、良い物は造れない、逃げ腰になると弱気癖が身に付いてしまって、それこそ我が社のブランド名が落ちてしまう」


(何よりも、あの堅物を動かすのが1番難しいな)

ミヤギは思った。


車は本社へとたどり着いた。ミヤギは、車から降りるとオフィスルームへと足を運ぶ。オフィスルームには、人の姿が無かった。その時、書類を取りに来た男性がいて彼はミヤギを見て


「社員は、全員会議室に集まるよう会長が言ってましたよ」


それを聞きミヤギは、上の階にある会議室へと向う。社内は昨日の一件で騒然と慌ただしい雰囲気包まれていた。あちこちで社員達が小声で噂話しをしているのが聞こえてくる。ミヤギは周囲の人達の声に耳を傾けず会議室に入る。 


会議室に入ると、上司の1人がミヤギに向かって「遅いぞ!」と、一喝を浴びせるが、それを見ていた研究課の課長と思われる人物が立ち上がり


「イヤ、良い...彼には私が直接、頼んで外交に回って貰ったのだ」

と、課長は彼を見て


「交渉の旨は、どうだったかな?」

「バッチリです。向こうは、こちらの要請があり次第、動いてくれると言っておりました」

「そうか、頼もしいな...」


話が一部始終すると、会長が周囲を見渡して

「始めてくれ」

と言う。


彼の言葉に従うかの様に、近くにいた男性が席を立ち、会議室の上座にある大きなスクリーンへと行くと、周囲を見渡して話を始める。


「既にお気付きかもしれないが...今日の夜中、我が社の輸送トラックが、山道を走行中に転落事故を起こした。幸い全員無事で命に別状は無いそうだ。しかし...それとは別に大きな課題が出て来た。皆が良く知っている我が社が極秘開発していたXM13J・GC2000ータイプRS。ルナ・リスファー、シリーズ0031番、通称『アリサ』が、現在行方不明となっていた事である。これは、かなりの非常事態だと捉えるべきであると思う」


話が終わると彼は席へと戻って行く。


「これに付いて意見のある方は、いるかね?」


その言葉と同時に、一人の男性が手を挙げて席を立つ。


「アリサの通信情報はどうなっているのだね?位置情報さえ確認出来れば、直ぐにでも見つけ出すのも容易いであろう...」

「実は...アリサのネームが既に書き換えられています。彼女は現在、別の名前を使用している可能性があります。彼女に設定していた情報伝達信号及び、システム環境プログラミングは、全て別物に書き換えられています。その為位置情報が全く得られません」


周囲は驚きの声に溢れた。


「アンドロイドが、自ら名前やデータを変えたのか?」

「考えられない。前代未聞の事だぞ、これは...」 

 

周囲が騒然としている中、1人の男性が席を立つ。


「今回の件、そもそも、なぜ唐突に事件が発生したのですか?状況次第では、未然に防げ無くもない事態だった筈。アリサのデータベースは、そこまでして複雑な機能だったのでしょうか?」


「アリサに付いては、色々と議論の場になっているな。そもそも...あのアンドロイドは我々人類にとって『未来の女王』と言う思考がある。しかし...あの子は、自らそれを嫌ったのだ。あの子は、自分で自分の道を選んだのだよ。事件は必然的に起きたのだ」

「会長、この様な場でそ言う発言は、控えて下さい」


会長は目を閉じて「失敬...」と呟く。


「あのアンドロイド1体の為に、我が社が総力を上げて結集した最先端の技術が盛り込まれているのです。いわば結晶体な様なもの。もしも...これがコピー大国にでも持っていかれたら、知財を奪われるだけでは済まされない話です」


「確かに一理ありますね。アリサの持つ『LコアS』システムは、通常のアンドロイドの数倍の性能があります。悪い奴等に捕まり、その性能を悪用とすれば、数日で過去から現在までの世界中のネットワークの情報網を書き換えてしまう勢いはあります。これを事前に防ごうと、我々開発陣達は考えて準備を進めています」


「この辺までの話に付いて、研究課の皆さんは、どう思われますか?先程からまだ意見を述べられていませんが」


話の矛先が研究課達へと向けられる。


「我々としては、今回の騒動は、かなり重大な課題として受け止めています。その為にも早期解決を要する次第です。幸い手掛かりになりそうな物を1つ持ち合わせています」


それを聞いた周囲の人達が

「おお!」

と、周囲は驚きの声上げていた。


「ミヤギ君」

「ハイ」

ミヤギが返事をして席を立つ。


スクリーンの前に行き、彼は周囲を見回して話を始める。


「実は...事故が発生した場所から、少し降りた場所にハイウェイの道がありまして、その付近を警察官達に検問をして頂いてたのです。事故発生から1時間程経過した位に1台の民間車両が通過しています。検問があった場所から数キロ進んだ辺りで、この民間車両は、何故か走行を止めて、しばらくして法定外速度で現場付近から離れて行くのが、観測されています。我々はこの民間車両の所有者にコンタクトを取る事を考えています」


「ほぉ、なるほど...」

周囲で頷く声が響く。


「では、我々研究課の人達は今日、二手に分かれてアリサの捜索をします。ミヤギ君には、その人物とのコンタクトをお願いし、残りの人達は、もう一度現場付近を捜索。あと...状況次第で、皆さんにも協力を要請しますので、その予定でお願いします」


研究課の人達は、そう言って会議室から出て行く。

会議室から出て来たミヤギは、通信室へと向かう。通信を行っている女性へと近付くと軽く挨拶をする。


「こんにちは。ルカちゃん、元気そうだね」

「あら...ミヤギさん、こんにちは。今仕事中なので、あまり話しかけないで下さい」


女性は、若くて奇麗な20代前半と思われる感じの人だった。明るくて陽気な雰囲気のあるルカは、本社では人気のある女性でもあった。


「ちょっと、頼みたい事があるけど良いかな?」

「何でしょうか?」

「この男性宅に電話を掛けてくれ」


電子ペーパーに写し出された相手宅に電話を掛けさせる。

ミヤギは電子ペーパーの次のページに、訪問内容の文面を作成してルカにその文面の内容を見せた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る