第10話 嘘つきベリト

「次は〜"アンシェント・フェイマス・ハウス“、"アンシェント・フェイマス・ハウス“〜」


 さすが特急列車だ。もう"アンシェント・フェイマス・ハウス“に着いた。僕は駅のホームに降り、軽く背伸びをする。


 伝説のハンバーグを食べに行く時は散々だったが、今回は楽勝だ。早くも"アンシェント・フェイマス・ハウス“まで辿り着いた。


 と、思ったら、どうも妙だ。人が少ない。おかしいな。


 "アンシェント・フェイマス・ハウス“と言えば、中部地方での一大都市だ。なのに、ここは人が疎らで何処かもの寂しい。


 とりあえず、改札を出て、街にでる。やはり人がそこまで多くない。一体なぜなんだろうか。


 と、僕が考え込んでいると、一枚の看板が目に飛び込んできた。


『”ニュー・セーフ・キャッスル“駅』


 あれ?何でだ?"アンシェント・フェイマス・ハウス“じゃないぞ。


 僕が若干混乱していると、背後から声を掛けられた。


「ふ……貴様は騙されたのだよ。ローラン」


 あ、競艇場であった変な人だ。確か、信楽焼とか言ってたかな?変な名前だ。


「……ジークフリートだ。魔王ベリトは嘘を吐いて人を騙す。貴様は車掌の声真似したベリトに騙されたのだ」


 何だって?


 人のことを”嘘吐きの人権侵害“と散々言ってた本人が嘘を吐いて僕を騙したなんて。どの口が言っているのやら。

 

 しかし、あの人権男、気絶したフリをしていたのか。まったく。今度会ったら、トドメを刺そう。そして、歯を全部折ってやろう。


 やり過ぎかな?いや大丈夫、魔物に人権はない。

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