第2話 黒い稲妻

「次は〜リッチブリッジ〜リッチブリッジ〜。”アンシエント・フェイマス・ハウス“へ行く方は3番線の列車にお乗りください」


 列車を降りて、乗り換え線まで進む。まだ時間がある様だ。僕は駅の売店に目をやると名物の“黒い稲妻”目に入った。この“黒い稲妻”はサクサク感のあるクランチをチョコレートでコーディングしたOLに大人気のお菓子だ。ここ“リッチブリッジ“にある製菓が製造して全国展開している。


 僕が漫然と看板を見ていると、黒い稲妻の売り子が話しかけてきた。


「イラッシャイ……」


 目つきの悪い売り子だな。だが、挨拶には返そう。僕は片手を上げて応える。


「黒い稲妻……どうですか?このお菓子、全国で売れているんです。ですが、ここ”リッチブリッジ“が発祥と知るものは少ないのです」


 正にそうだ。僕もこの駅で目にするまで思いもしなかった。


「この企業は……凄いんですよ。得た利益を自分たちだけでなく、社会に還元しているのです。知ってますか?ガーナへの教育支援に寄付をしたり、環境に配慮した設備投資、それに社員への感謝の気持ちを忘れない……素晴らしいでしょう?」

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