第134話 そして食った

 皮ごと食えるバナナ。

 ついに食ってみた。

 バイト先で小さなバナナを輪切りにして皆で食ってみたのだ。

 僕は、一応ヨーグルトを用意していた。

 不味くても最悪ヨーグルトに混ぜれば食えないことは無いと判断したのだ。


「桜雪さんから食べてみて」

 買ってきたのは僕だから、当然と言えば当然なのかもしれないが…やはり勇気はいるのだ。

「では……」

「どう?」

「はい…食えるんですけどね…なんというか…じゃあ食いたいか?と問われれば…まぁ食いたくはないと答えるでしょうね」

 嫌な予感はあったのだ。

 切っているときからバナナ感が無いのだ。

 柔らかさが足りないというかサクッという感じで切れる。

 硬いわけではないのにだ。


 皆が食べて…

「まぁ…話のタネだから」

「バナナ自体は美味いよ」

「皮は皮だね」

 やんわりとした酷評であった。


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