第133話 それぞれの道

 市役所に行った。

 マイナンバーカードを貰いに行ったのだ。

 受付の子が僕に話しかけてきた。

「桜雪さん、お久しぶりです」

「……」

「○○です」

「あ~、久しぶり」

 ラブホでバイトしていた若い女の子だ。

 今は市役所で受付をしているそうだ。

 2年…3年ぶりだろうか?


 すっかり大人びて、綺麗になっていた。

 少し話して彼女は仕事に戻った。


 表情も穏やかになったような気がする。

 やはりラブホの清掃員など、どこか病んでいくものだと思う。

 僕がバイトしていたときの面子も、ほとんど入れ替わったようだ。

 長く務める場所じゃない。


 皆、それぞれの道を歩いている。

 陽の当たる場所へ戻っていく…

 日陰で病んでいても、いつかは…きっと。

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